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カテゴリ:小説
神様の涙がドロップスになる、という歌があったが、人は何故涙を流すのだろう?眼球を乾燥させないため、ゴミを流しだすため、という機能以外にも、泣くのは何故だろう?
「おかしいな…。」 こことは違う次元で、羽のはえた者がつぶやいた。もう一人が聞く。 「何が?」 「新しい魂を作るためのエッセンス、最近どうも具合がおかしいんだ。」 最初につぶやいた方が、聞き返した方に、資料を見せて説明を始める。 「まず、『不快感による分泌』な、これは主に誕生したばかりの生命が出すから、中には純粋な心のエッセンスが溶けている。それを新しい魂の成分にするんだが」 「ふむ」 「ほら、異物混入の割合が異常に増えてるだろ?」 「…本当だ…」 「生命が成長すれば感情が発達するから、こっちの『怒りによる分泌』に変化するはずなんだ。こっちからは物事を始める原動力を取り出す」 「こっちは量がやけに増えてるな」 「そう、増加しすぎなんだ。ベースになる『純粋な心』が足りないから、単純にこの比率で足すと、何に対しても過剰に反応する魂になってしまう」 「こっちも増えてるが、これは?」 「『悲しみによる分泌』。悲しみは、他者との共感能力が含まれている。分泌量は増えているが、肝心の『思いやり』成分はどんどん少なくなっているんだ。独りよがりでおこりっぽい魂になってしまう。だが、もっと深刻なのはこれだ」 「!激減しているな」 「『喜びの涙』だよ。『生きる喜び』が含まれている。こんなに少なくては新しい魂を作れない。無理に作ったとしても、『生きる喜び』のない人間は生きていけない…」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004/03/06 03:35:22 PM
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