冬の夜に、「偶然」またの名を「縁」という目に見えぬ糸を結んだのはカエルだろうか?
冬暮れの日が紙袋ランタンの影を東へ長く伸ばすころ、
ボランティアスタッフの方々は長さ15cmほどのロウソクを、
ひとつひとつ手作業で紙袋ランタンの中に立てはじめます。(感謝)
あ、そうそう、紙袋はなぜ飛んだり燃えたりしないのかのタネあかし。
実は、袋の底8cmくらいまでぎっしり雪が詰められていて、
それが重しになって余程の吹雪でないかぎり袋は飛ばないそうです。
雪は・・・あたり一面に売るほどあります(着払いでよければどこぞに送ってしまいたい。笑)
その雪にロウソクを真っ直ぐに立てます。
雪が融けたくても融けられないブッチギリ氷点下の気温ゆえロウソクはまず倒れません。
袋の口は1.5cmほど内側か外側に折り返されており、
高温になるロウソクの真上に倒れこまないよう補強の役目をしています。
それに・・・ 外気温が氷点下ですからもー、紙の発火点まで温度が上がりづらいですし。
今年は風もなくお天気だったので「燃え上がる ガンダム ランタン」は見られませんでしたが、
天候によってはロウソクが消えてしまったり紙袋が燃えたり等のご苦労もあるそうです。
そう、見知らぬ人と「この色はどうやって出してるんだろう?塗ったのかな?」など、
あゝでもないこうでもないと話している時でした。
背後から「写真、撮ってくださったんですね、ありがとうございます」という声が。
なんのことやら分からずに「え???」と目をパチクリしていると、
「これです」と横にある紙袋ランタンを指さすご婦人。
あゝ、はい、これなら先ほど凄いなぁと思って撮らせていただきました。
ひときわ存在感を放ち手招きしていましたから。
私も、1/5に亡くなったばんえい競馬のシンエイファイトのシルエットを、
30分ほどのワークショップで必死に切り絵したんですけど、とてもこんな風には・・・
弟子入りしたいくらいです(汗
「これ、切り絵で作られたんですか?素晴らしいですねぇ」と言うと、
「いえ、私じゃなく主人が・・・ 灯かりがつくとこんな風になると思わなかったものですから
カメラを持ってくればよかったねぇと言ってたんですよ」と話してくれました。
オヨヨ、一万個も並んだ紙袋ランタンのたったひとつの前に、
それを作った方とほぼ同じ時間に立ち、目に留まり話しかけられる確率って・・・
こちらは奥さまが生けた花をご主人が切り絵にした作品。
「申し訳ないですから」と遠慮されるのを、
「私の写真でよければ、プリンターでチョチョイのチョイですし」と、
半ば強引に住所を聞き出し、今日写真にして送らせていただきました。
明日あたり着くと思います。
気に入っていただければ幸いです。
なんとなく気になって振り向くと、お二人並んで灯かりの中を仲良く帰られる後ろ姿。
なんだかランタンの灯かりより温かいなぁ。
私もこんな風に歳を重ねていきたいなぁ。
冬の夜の「偶然」またの名を「縁」、
それはまっ白い雪と、真っ暗な闇と、温かい炎の魔法だったのかもしれません。