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カテゴリ:持ち物自慢させてください
人間のおとうさんは、どっちかっつーと 冒頭のワン・パラグラフを引用すると 浅倉版 あるとき、ある男が、一日じゅう突っ立ったまま、髪の毛にわいた虫を払い落としていた。医者は、髪の毛に虫などわいてないよ、という。男は八時間もシャワーを浴び、熱い湯の下に立って、虫に刺される苦痛をえんえんとこらえつづけたあと、浴室を出て体を拭いたが、まだ髪の毛の中の虫は死なない。というより、いまでは全身に虫がわいていた。1ヵ月後には、両肺のなかまで虫が巣食うようになった。 山形版 むかし、一日じゅうつっ立って髪の毛からムシをふりはらっているやつがいた。医者には髪にムシなんかいないと言われた。八時間シャワーを浴び続け、ムシの痛みに苦しみながら何時間も熱い湯の下に立ったのに、出てからだをかわかしてみると、髪にはまだムシがいた。それどころか、ムシは全身にたかっていた。一月後には肺のなかにまでムシがいた。 ほらね? さいごに、山形さんの言葉をあげておきたい。 本書の題名がA Scanner DarklyであってThe Scanner Darklyではないことは気を留めておいていただきたい。愚直に訳せば『おぼろな盗視聴機の一人』となるだろう。 (中略) これは特定の個人に起こった特殊な出来事じゃない。アメリカ中で起きた数多くの事例の一つにすぎないんだ、というディックの主張がこんなところにまで顔を見せているわけだ。 もちろん実際には、すべてのヒッピーがディックの友人たちのような不幸な末路をたどったわけではない。ほとんどのヒッピーやジャンキーは、それなりに生き延びて、株屋になったりリゾート開発の手先になったり、あるいはドロップアウトとしての生活を貫き通したりして、1990年代までなんとかやってきている。 ディックが描いているのはペシミスティックなうそだ、というわけではない。当たり前の話だが、人の数だけ人生があり、属する社会的文化的な複合体があったというだけのこと。『暗闇のスキャナー』も、たかがそのなかの一つの複合体の産物にすぎないということは忘れてはならない。これは本書の小説としての価値をなんら貶めるものではない。 ←記事、ちょっとマジメというか硬派になっちまったい ポチ! 人気blogランキングへ←映画にもなってんだね。ちっとも知らなかった ポチ! しかも、キアヌ・リーブスだってさ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.08.02 02:48:44
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