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テーマ:地震だ~~!!(870)
カテゴリ:ピンクの象
中越地震をはじめ、いくつかの災害現場で復興支援に関わってきた 人の話を聞く機会がありました。 その人が話の最後に、こんなエピソードを付け加えました。 ガスや水道の供給が止まってしまった山間部を巡回してきた ボランティアの学生が、鬼の形相で駆け込んできたのだそうです。 「今すぐ、おばあちゃんに水を届けましょう!」 一人暮らしのその婦人は、止まってしまった上水道の代わりに、 井戸水を使っていました。 いつもなら、きれいな水の出る井戸ですが、しかし、地震の影響で 地下水に土が混ざり、汲み上がる井戸水も濁ってしまったのです。 仕方ないので、この濁った井戸水を煮沸消毒して、飲料水や生活 用水として使っている―という現状を、たまたま巡回にやって来た ボランティアの学生に話したのだと思います。 濁って“不衛生”な水を飲まざるを得ない“惨状”を目の当たりにした 学生は、一刻も早く、この婦人にペットボトルに入ったきれいな水を 届けなければ、と使命感に燃えて、本部に飛んで帰ったのでした。 みなさんがコーディネーターなら、その学生になんと言いますか? すぐさま、水を手渡そうと思う人は多いのではないでしょうか。 これに対応したコーディーネータは、すぐには同意しませんでした。 「もう一度、現地に行って、ほんとうに水が必要なのか 見極めてきてください。」 学生は、言われたとおり現地から戻って、やはり水は必要だと 訴えました。 それでもコーディネーターは水を渡さず、代わりに 携帯ガスコンロのカートリッジを取り出しながら言いました。 「まずは、これを持って行って渡しながら、 その人とじっくり話をしてみてください。」 このコーディネーターは、おそらく地元の人だったのでしょう。 学生から地名を聞いた時点で、その土地の環境や、住人が どんな暮らしをしているのかまで頭に浮かんだかも知れません。 たとい井戸水が濁っていたとしても、煮沸消毒すれば十分に 飲料水としても使えるだろうこと、そして、お年寄りであれば、 そうした生活の知恵を身につけていると踏んだのです。 むしろその被災者にとって、井戸水を煮沸するための火が 絶えてしまうことのほうが致命的だと判断したのでしょう。 「このガスコンロが必要なかったとしても、それでは今は どうやって火を焚いているのか、お腹を壊したりしてないか、… いろいろ話をする中で、表には見えて来ない 被災者の真のニーズを掘り起こすことができるかもしれません。」 このコーディナーターの判断に、私は感服しました。 しっかりした判断力を備え、多くの経験を積んできた からこそできる冷静な対応だと思います。 阪神淡路大震災を経験した、災害ボランティアのエキスパートが、 その後の災害現場においてとても重要な役割を果たしているのだ そうです。 復興支援の現場では、おそらくミスジャッジや見当違いがよく起きる のだと思います。 そんな中で、軌道修正していく役割を担う存在の 重要性を知りました。 写真は、葉山神社の清水。 みなもにアメンボが泳いでました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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