【送料無料】日本国債先物入門
□三菱総合研究所・武田洋子主任研究員
ムーディーズ・インベスターズ・サービスが22日に行った日本国債の格付け見通しの見直しにサプライズはなく、むしろ中東アフリカの政情不安を要因に市場の資金は安定的な投資先としての日本国債に流入し、長期金利はやや低下している。
近年、日本の長期金利が低い水準にとどまっているのは、(1)潜在成長率の低さ(2)企業の資金需要の弱さ(3)デフレが続く下でのインフレ期待の抑制(4)事実上のゼロ金利が当面続くとの見方(5)国債の発行残高の約95%を国内の投資家が消化している(6)日本が債務を返済できなくなる国債のデフォルトを起こす可能性は低いと信じられている-の6つの理由が絡み合っているためだ。
だが将来的には、この構造が崩れる可能性は少なくない。三菱総合研究所の試算ではこれまで、家計の純資産は政府債務残高を上回って推移してきたが、これが平成32年までに逆転するとみている。高齢化で貯蓄の取り崩しが進み、金融資産が増えにくい一方で、社会保障への支出が増え、政府債務残高は一段と増えていくことが見込まれるからだ。
また政局の混乱もリスク要因だ。税と社会保障改革の取り組みが近い将来、仮に頓挫することが表面化すれば、日本国債の5%を保有する海外投資家が売り浴びせかねない。海外発の投機的な売りが国内に波及しないともかぎらない。
早期に財政改革の道筋をつけなければ長期金利が跳ね上がる可能性は高まる。それがいつになるかははっきりとは言いにくく、猶予期間は1~2年よりは長いとしても、残された時間が少ないことだけは間違いない。(談)
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