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2014.10.10
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カテゴリ:社会・政治・時事
 新聞で、若者の就職に関する書籍として、
 本著のことが紹介されていたので、読んでみました。
 著者の本田さんのお名前は、よく拝見するので、その著作も読んだことがある、
 と思っていたのに、今回調べてみると、何と一冊も読んでいませんでした。

 さて、「ハイパー・メリトクラシー」は、本著の中で度々登場する言葉。
 それは、非認知的で非標準的な、感情操作能力とでも呼ぶべきもの(いわゆる「人間力」)が、
 個人の評価や地位配分の基準として重要化した社会状態を意味しています。
 これは、認知的な能力(頭のよさ)よりも、意欲や対人関係能力、創造性など
 人格や感情の深部、人間の全体におよぶ能力を、評価の俎上に載せています。

著者は、この「ハイパー・メリトクラシー」が、若者に対し厳しい負荷を突きつけており、
労働市場改革や福祉の拡充だけでは、対抗策として不十分であると言います。
そして、「進路選択」という不可避の課題に対処する手掛かりを得るためには、
「柔軟な専門性」という概念と、それに基づく教育面・労働市場面での施策が有効としています。

また「やりがいの搾取」という言葉も、頻繁に登場します。

  「好きなこと」や「やりたいこと」を仕事にすることが望ましいという規範は、
  マスコミでの喧伝や学校での進路指導を通じて、
  すでに若者のあいだに広く根づいている(1.趣味性の素地)。
  しかし、実際には、企業組織内のハイアラーキー(ピラミッド状の階層構造)の
  底辺部分に位置づけられて、何の権限も与えられないことも多い若者にとって、
  裁量性や創意工夫の余地がある仕事は
  希少価値をもつものとして憧憬の対象となっている(2.ゲーム性の素地)。
  また、日本の若者のあいだでは、
  自分の生きる意味を他者からの承認によって見いだそうとするためか、
  「人の役に立つこと」を求める意識がきわめて強い(3.奉仕性の素地)。
  さらに、「夢の実現」などの価値に向かって、
  若者が自分を瞬発的なハイテンションにもっていくことによってしか乗り切れない、
  厳しく不透明な現実も存在する(4.サークル性、カルト性の保持)。
  これらの素地につけいるかたちで、「<やりがい>の搾取」が巧妙に成立し、
  巻き込む対象の範囲を拡大しつつあるのが現状だと考えられるのである。(p.100)

バイク便ライダー、コンビニのアルバイト、ケアワーカー、居酒屋のアルバイト。
こういった仕事が、1~4の素地を具体化する仕事として例示され、
企業にとって、きわめて好都合な「自己実現系ワーカホリック」の若者が
生み出されている様子を、説明してくれてくれています。

  すなわち、短時間労働者は、時間的な自由度を得る代わりに、
  収入や安定性を犠牲にせざるをえない。
  長時間労働者は、没入できる仕事を得る代わりに、他の生活を犠牲にせざるをえない。
  そして、中時間労働者は、安定を得る代わりに可能性や自由を犠牲にせざるをえない。
  このように、いずれの働き方においても、仕事に関わる重要な何かと引き換えに、
  別の重要な何かを手放さざるをえないような状態が生じているのだ。(中略)
  そして、代償の中身が立場によって異なるために、
  働く者はたがいのつらさがわかりにくく、
  むしろ自分とは違う層への羨望混じりの憎悪をかき立てられることになる。(p.152)

これなどは、若者の問題ではなく、労働者全体に関わる問題です。
ただ、これを一朝一夕に解決することは、間違いなく無理でしょう。
ひょっとすると、どこまでいっても完全に解決など出来ない問題のような気もします。
それでも、ちょっとでもマシな状態に、一歩ずつ踏み出していくことが重要だと思いました。





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Last updated  2014.10.11 11:36:09
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