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2017.02.26
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​ 雨田具彦が使用していたスタジオでキャンバスに向かうものの、
 何も生み出すことが出来ない日々が続く。
 二人目の人妻との情事は、ある種の落ち着きをもたらしてくれたものの、
 四十歳までに自分固有の作品世界を確保したいと焦る気持ちは募る一方。

 小田原の図書館で、雨田具彦の画集を眺め、
 洋画家から日本画家へと転向した、彼の人生の変遷に思いを馳せる。
 そして、新しい住処が面する谷間の向かい側に建つ邸宅。
 そこに現れる人影が、私の人生に入り込んでくることに。

  おそらく生活について思い煩う必要もない境遇にいるのだろう。
  しかし逆に向こう側から谷間を隔ててこちらを見れば、
  この私だって何も思い煩うことなく、
  一人で悠々と日々を送っているように見えるのかもしれない。
  遠くから見ればおおかたのものごとは美しく見える。(p.84)

   ***

この後、谷間を隔てた山頂に住む謎の隣人と、
雨田具彦の『騎士団長殺し』について語られていくことになります。
雨田具彦の存在は、このお話の中で重要な意味を持ってきそうですが、
ウィーン滞在期間中に、一体何があったのでしょうか?





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Last updated  2017.02.26 12:00:45
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