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カテゴリ:只今読書中、実況中継!
![]() 私は雨田政彦を訪ね、イタリアン・レストランで夕食をとる。 「おまえもやっとまともに絵を描きたいという気持ちになってきたんだな」 と雨田は言った。 「一人になって、生活のために絵を描く必要がなくなったからじゃないかな」 それで自分のための絵を描きたいという意欲がでてきたのかもしれない」 政彦は肯いて言った。 「どんなものごとにも明るい側面がある どんなに暗くて厚い雲も、その裏側は銀色に輝いている」(p.90) 私が、自殺した彼の叔父・継彦について、 そして、彼の父・具彦について知りたいと言うと、 彼は、自分の知る限りのことを詳細に教えてくれた。 叔父が、上官の将校に軍刀を渡され、捕虜の首を切らされたことも。 それらの話が終わると、政彦はもう会社に戻ると言う。 私が「何かぼくに話があったんじゃないのか?」と尋ねても、次の機会に話すと言う。 そして、なぜ家庭の微妙な秘密みたいなことまで打ち明けてくれたのかと尋ねると、 一人で抱え込んでいることに、いささか疲れてきたからかもと答える。 *** その後に、政彦はこんな風にも言ったのです。 「おれにはおまえに少しばかり個人的な負い目があってね、 その借りを何らかのかたちで返しておきたかった」と。 そして、実はその負い目について話そうと思っていたが、今日は時間がないのだと。 益々もって怪しい…… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.03.11 11:40:00
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