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カテゴリ:文芸
![]() 主人公はキャシー・H、31歳で、 提供者の面倒を見る介護人として、11年以上勤めている人物。 この「提供者」と「介護人」が、このお話のキーワード。 時は遡り、キャシーがヘールシャルムで過ごした日々が語られる。 そこには、後にキャシーが介護人として関わった提供者・ルースや キャシーが様々な場面で関わり続けたトミーがいた。 彼女たちは、保護官達に見守られ、教えられながら成長していく。 彼女たちが日々制作する作品のうち、優れたものは展示館へと運ばれていく。 油絵、水彩画、デッサン、焼き物、エッセイ、詩等々。 そのため、年に何度かやって来るのがマダム。 そんな日々の中、ルーシー先生が突発的に真実の一端を語る。 あなた方には見苦しい人生を送ってほしくありません。 そのためにも、正しく知っておいてほしい。 いいですか、あなた方は誰もアメリカには行きません。 映画スターにもなりません。 先日、誰かがスーパーで働きたいと言っていましたが、 スーパーで働くこともありません。 あなた方の人生はもう決まっています。 これから大人になっていきますが、あなた方に老年はありません。 いえ、中年もあるかどうか……。(p.127) この後、語られた衝撃の事実。 しかし、その真の意味をキャシーとトミーが知ったのは、 2人がヘールシャルムを離れ、キャシーがルースの介護人を務めた後、 トミーの介護人になってからのこと。 リトルハンプトンにあるマダムの家で、彼女と対面した2人は、 そこで全ての真相を知ることになる。 やがて、トミーの4度目の提供を前に、キャシーは彼の介護人をやめる。 トミーが使命を終えて2週間後、キャシーは思い出の地・ノーフォークにいた。 *** 初めて読んだカズオ・イシグロ作品は、評判通り、心に深く残るものでした。 『キャッチャー・イン・ザ・ライ 』や『グレート・ギャツビー 』を読んだ後と似た感じ。 でも、やっぱり村上さんの作品の方が、私にはフィットするなぁ。 こればかりは、もうどうしようもない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.08.18 17:10:57
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