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カテゴリ:文芸
![]() 読み進めてきた原田マハさんの作品。 3冊目に選んだのが、旅に関するエッセイ集である本著。 原田さんがいかなる人かを知るのに、絶好の一冊です。 *** 旅の最中、私はバスや電車など公共の交通機関での移動を何よりも好む。 移動しながら地元の人々の様子を眺めたり、 何気ないおしゃべりを耳にしたりするのが楽しいからだ。 どうってことのない会話にその人のキャラクターや暮らしぶり、 ときには人生がにじみ出ていることがある。 私は日の当たる窓際の席に陣取って、流れゆく景色を眺めながら、 前後左右から聞こえてくるローカルな会話を耳に、 その人の人生に思いを馳せたりする。 そういうときに、ふっと物語のかけらのようなものが浮かび上がる。(p.54) 原田さんのデビュー作『カフーを待ちわびて』誕生の経緯が、 本著「30 沖縄の風に誘われて」と「31 カフーは突然に」に記されています。 このような、正真正銘の偶然の出会いを通じて、一つの素晴らしい作品が生まれ、 優れた作家が誕生したことに、驚きと共に感謝の気持ちでいっぱいになりました。 また、本著には、原田さんの幼少期や学生時代、 さらには、会社員を経て美術関係の仕事に就いた頃の様子も記されており、 原田マハという作家が、いかにして形作られてきたのかがよく伝わってきます。 もちろん、作家になってからの取材旅行に関する記述も、とても興味深い。 そんな中でも、特に「15 永遠の神戸」は、 この街と深く関わり続けている私にとって、心に深く沁みこんでくる内容でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.04.19 11:43:30
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