|
カテゴリ:その他
![]() 世間で大きな話題となっているのは、福原愛さんについて。 どのワイドショーでも、長い時間をかけて事の経緯を詳細に説明し、 MCやコメンテーターの方たちが、それぞれの思いや考えを語り合っています。 そして、週刊誌上やスポーツ紙上はもちろんのこと、 ネット上も、様々な方々による数多くの情報で満ち溢れています。 また、それらを受けての著名人の発言や文章だけでなく、 幾千万の匿名の方たちによるコメントが、これでもかと言うほど飛び交っています。 *** 人の脳は、裏切り者や、社会のルールから外れた人といった、 わかりやすい攻撃対象を見つけ、 罰することに快感を覚えるようにできています。 他人に「正義の制裁」を加えると、脳の快楽中枢が刺激され、 快楽物質であるドーパミンが放出されます。 この快楽にはまってしまうと簡単には抜け出せなくなってしまい、 罰する対象を常に探し求め、決して人を許せないようになるのです。 こうした状態を、私は正義に溺れてしまった中毒状態、 いわば「正義中毒」と呼ぼうと思います。 この認知構造は、依存症とほとんど同じだからです。(p.5) 今の日本は、まさに国全体が「正義中毒」に陥っている状態。 本著は、この「正義中毒」について、 脳科学的知見から「許せない仕組み」を説明し、 何らかの救いのメッセージを、提供しようというものです。 ジェーン・スーさん(コラムニスト、ラジオ番組パーソナリティー)から、 「中野さんの本には解決策が書かれていないね」と言われたことがあります。 確かにその通りです。(中略) 万人によく効く正義中毒の治療法、人を許せる方法は、存在しません。(中略) 一般解はありません。 だから、困る、ということではなく、 私はそれでいいのではないかと思います。(中略) 私が本書を通して伝えたいのは、ああでもなくこうでもない、 そうも言えるし、こうも言えるけれど、 結局人間が好きで、考えることは楽しい、ということ。 言いたいのはただそれだけです。 それを多くの人が共有できる時が、正義中毒から解放され、 他人を許せるようになるタイミングではないかと思います。 このとき、バカと思われていたものは、 多様性の一角に変わるのです。(p.217) 周囲を海に囲まれた閉鎖的環境と、常に自然災害と隣り合わせであることが、 日本に住む人たちの社会性を高めてきました。 その結果、個人の意思よりも集団の目的を優先するようになり、 従順な優等生が優遇され、議論の出来ない人たちの集まりになってしまいました。 人格攻撃と議論は違います。 また、他者にも、自分自身にも、一貫性を求め過ぎてはけません。 そして、すぐに拒絶せず、いったん受け止め、包み込んでみる姿勢も必要です。 皆が「多様性」を認めあえる社会になるといいですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.03.07 13:23:10
コメント(0) | コメントを書く |