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カテゴリ:文芸
![]() ネット上で偶然に目にとまり、今回手にすることになった一冊。 そして読み始めると、既にシリーズ20巻を刊行していることに大いに納得。 また一人、優れた作家さんにこうして出会うことが出来て、とても幸せです。 *** この作品の主人公が、作中で婚活サイト申込書・質問紙に記入したプロフィールは次の通り。 名前:真田夏希(さなだなつき) 住所:神奈川県横浜市戸塚区舞岡町…… 生年月日:昭和60年(1985年)8月15日 年齢:31歳 職業:地方公務員 最終学歴:東京医科歯科大学医学部医学科卒業、同大学院修士課程医歯理工学専攻修了 筑波大学大学院人間総合科学研究科博士課程後期課程(感性認知脳科学専攻)修了 取得学位は医科学博士、神経科学博士 夏希は、高校卒業までは函館市郊外で育ちましたが、 小5の夏に祖母が亡くなった際、「悲嘆の遅延」により悲しみの感情が表面に出てこず、 そのことが原因で、従姉妹・朋花との関係が悪化してしまいました。 そして、その解消が出来ないままに、朋花は事故死してしまったのです。 また、かつては精神科医として都内病院に勤務していましたが、 その2年目の秋、担当患者が自死したことから病院を退職、精神科医も辞めてしまいました。 そして、2017年4月に神奈川県警初の心理職特別捜査官(警部補)として採用されると、 7月にみなとみらい地区53街区で爆発が発生、高島署設置の捜査本部で捜査に加わることに。 「マシュマロボーイ」を名乗る犯人は、SNSで神奈川県警をネット炎上させつつ、 爆破予告をくり返し捜査を攪乱、第2、第3の爆発を次々に発生させていきます。 夏希は犯人と交渉を続けながら、地雷探知犬上がりの警察犬候補生・アリシアと共に、 爆発を未然に防ぐべく各所を駆け回り、遂に犯人を追い詰めることに成功したのでした。 *** ここからはわたしの推論ですが、 彼らは自分が社会内で受けているうっぷんを、 顧客という高みに立つことで晴らそうとしているのでしょう。 我々警察官はモンスターシチズンを相手にしているという自覚を 持つ必要があると思います。(p.124) この言葉の前に、警察官以外にも、教師、医師、市役所などの職員、鉄道乗務員など、 高い職業倫理が求められる職種に対し、市民が監視する態度はどんどん厳しくなっていると、 夏希は指摘しており、とても納得させられました。 最近話題の「カスハラ」も、まさにこれに当てはまるものですね。 犯人の狙いは、SNSや報道でこの爆破事件を知った者たちの メシウマ感情をあおることにあるのだ。 犯人は、世間の人々のシャーデンフロイデを喚起しようと計算して、 カップルを狙ったものに違いない。 犯人はメシウマと思っている人々を見下している。 他人の不幸にしか喜びを感じられない人間を蔑んでいるのだ。(p.128) これは、SNSの現状について色々と考えさせられた箇所。 「踊らせている」のは誰で、それは何を目的としているのか。 そして、「踊らされている」人たちは、そのことに気付いているのか。 まぁ、何も考えずに「踊らされている」だけなんでしょうね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.05.19 11:54:38
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