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カテゴリ:社会・政治・時事
![]() 本著は、「日本人が見た、日本語を通じた台湾」「地方から見た台湾」 そして「台湾と関わる人々の声に耳を澄ます」という3つの視点を組み込んで、 台湾の土地と人々の間により深く分け入るための道標となることを目指した一冊。 *** まず、「第1章 離島と山岳地帯 - 台湾の先住民族」では、 民族学者・國分直一の離島・蘭嶼(らんしょ)に始まる民族調査と先住民族について、 「第2章 平地先住民の失われた声 ー 平埔族とオランダ統治」では、 作家・葉石濤の連作小説『シラヤ族の末裔』へと繋がれた探索のバトンについて語られます。 次に、「第3章 台湾海峡を渡って ー 港町安平の盛衰と鄭成功」では、 佐藤春夫の「女誡扇奇譚」の舞台・安平と台南と、鄭成功の生誕の地・平戸について、 「第4章 古都台南に残る伝統と信仰 ー 清朝文化の堆積」では、 「台湾随想」や『〈華麗島〉台湾からの眺望』等を参照しながら、台南市街の様子が語られます。 さらに、「第5章 日本による植民地統治 ー 民族間の壁と共存」では、 台湾総督府による統治と抗日運動、そして台北の街並みや台湾人の生活の変化について、 「第6章 抑圧と抵抗 ー 国民党の独裁と独立・民主化運動」では、 「光復」と「解放」、本省人・外省人の対立と二・二八事件、蒋経国について語られます。 そして、「終章 民主化の時代と台湾」では、 著者が初めて台湾を訪れた1999年9月の様子が語られます。 巻末には「台湾歴史年表」(1662~2016年)と共に、 18頁にも及ぶ「読書案内 - 台湾の歴史と文化を知る」が掲載されています。 本著「はじめに」で著者が記しているように、 台湾の歴史を知りたい人には、『図説 台湾の歴史』等の方が適しているかもしれません。 本著は、そういった書物を手にし、基本的な知識を身に付けてから読んだ方が、 味わい深く楽しめる一冊のような気がしました。 『台湾の日々』しか読んだことのない私には、少々手強かったです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.06.16 09:42:59
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