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カテゴリ:読書記録(それ以外)
岡内幸策『総解説 不動産証券化と不動産ファンド』(日本経済新聞社,2001)
総合評価 ★★★☆☆ エディターレビューでは実務家必携とか書いてるけど、概説であって実務書じゃないです。個人的には制度史概説として楽しみました 本書の概要 昨今流行の不動産投資信託、その前提としての不動産証券化、そしてさらにその前提となる証券化の基本的考えを後ろから順に説明した概説書。専門書でも実務書でもありません。エディターレビューを読んで実務書と思って買ったら失望します。まあハードカバーとはいえ350ページの小さな本にそんなに詰め込めるわけないですよね…。 まずは証券化とは何かと言うところから用語の解説も織り交ぜつつ素人にもわかるように丁寧に説明してあります。そして証券化スキームの米国での発達の大まかな説明、それを応用した不動産証券化の米国での立ち上がりとその後のスキームの進化、そして日本での不動産投資信託制度導入までに試みられたさまざまな方法とその評価、そして不動産投資信託という順に進んでいくのですが、基本的に制度史やスキームの概説としては流れがよくわかるように構成されており、基本的な知識からより高度な知識へという学習書としても出来がよいものと思われます。この著者は『証券化入門』という本も書いておりこれはその続編と位置づけられているのですがさすがに練れていますね。 ただし、内容的には深くはなく実務の表面をなぞっているだけとの感じは否めません。例えば、プロパティマネジメント業者がどのように修繕・改装などの意思決定をするのか、とかじゃあリスクプレミアムって実際にはどう計算(設定)するの、というような実際に実務をやるときの細かい事は全部はしょってます。 感想・印象 証券化に関する学習書としても、初期の簡単なスキームから徐々に複雑なものと進んでいくというようにわかりやすく構成されており、制度史の概説としても安価で入手容易なものとして価値は充分あると思います。私の場合は頭の構造がそうなっているからか制度を理解するとき制度史から入ると覚えるのが早いしなかなか忘れないので重宝します。逆に活字を読むのが苦手で要点だけ知りたい人には向かないでしょう。 きちんと索引とかもついていますからまあ手元においておいてもいいかな・・・とは思いますが進歩の早い分野ですから2001年と言うのは古いですね…だから余計に制度史としての価値に目が行くことになります。 内容的には★一つがいいとこなのですが本としての構成のよさ、制度史としての価値で甘いですが★三つです ( http://blogs.yahoo.co.jp/billaud_varenne/1974552.html より移転に伴い転記 元の記事は平成17年4月26日投稿) 人気Blogランキングに登録しました よろしければクリックしてやってください⇒ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.10.22 23:10:32
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