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30代サラリーマンの読書日記 ~本の感想・あらすじ~

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2021年08月20日
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カテゴリ:哲学
「人新世」とは資本主義が生み出した人工物が地球を覆った時代だという意味。


環境破壊、気候変動がこのまま進めば人類の存亡の危機になりかねない。
本書は環境破壊そのものではなく、環境破壊をもたらした資本主義社会に異を唱える。


私たちは大量生産、大量消費をしており、それは主に安い工業製品、衣服、食材などを発展途上国の工場や農場で格安の賃金で雇われている人々によって作られている。
まさに、現代版奴隷制度である。

SDGsも、環境負荷をそうした国に押し付けているだけであり、まやかしにすぎない。
例えば、SDGsの取組みによって導入される太陽光パネルに使われる金属資源は発展途上国の鉱山資源を消耗しているにすぎない。


著者はマルクスの資本論を基礎としながら、独自の解釈を加えて新しい社会のあり方を提唱している。


それは「脱成長コミュニズム」


社会主義だが独裁的ではなく、市民が主体的となって事業を運営する。
非営利組織の協同組合みたいな組織を作って、市民が出資し合う。
その組織の中だけで完結し、資本家による搾取のない社会になる。


水道、電気、ネットワーク、あるいは大銀行、GoogleやTwitterのような社会的インフラとなっている事業は全て共有化し、市民による手で運営して平等にその恩恵を享受する。
それを国家レベル、地球レベルで行うことが必要である。


私が思うのは、確かに脱成長コミュニズムは理想的社会である。

しかし、まずそれを統率する政治システムをどうするのかといった課題がある。

本書では市民が抽選によって参加する市民議会を挙げているが、それを国家レベルで行うとなると規模が莫大になる。
どうしても市民の代表者が議員になるという従来のシステムになってしまうのではないか。

規模が大きい国家となると、やはりそれなりの知識や政治手腕も必要になる。
抽選によって選ばれた市民がどこまで政治の運営に携わるのか。
また大規模な社会的インフラを共有化するために事業管理するというのは、戦後の米供出とか暴力による独裁をどうしても彷彿させてしまう。


脱成長コミュニズムを実現するのならば、あくまでも国家としては資本主義を保ちながら、自治体レベル、地域レベルで実施していくのが現実的になると思う。


人間である限り私利私欲はあるし、今資本主義社会がはびこっているのも、歴史から生まれた自然の結果である。競争が生まれることは自然の摂理である。

人々の私利私欲を抑制することになる社会主義は、どうしても強制力による統率が必要になると思う。


今の状況ではいけないことは私も認識しており、そのような取り組みは大いに賛成である。

いきなり大きな理想に向かうのではなく、まずは自分ができるレベルで市民的な協同組合に参加するなどしていこうと思った。

積み重ねれば、周りの人をも巻き込んで小さな変革につながり、やがて大きな変革をすることは不可能ではない。


そして、この本を読んだ上でコロナ禍における政策について疑問に思ったことを書く。

現在東京や首都圏では緊急事態宣言が出され、飲食店に時短要請や休業要請が出ている。
補償金は出るものの赤字になっているところも多い。

しかし相変わらず家賃や借入金は払い続けなければならない。
銀行や不動産会社にその家賃や借入金を猶予するように要請することはできないのだろうか。

銀行といった大資本が万が一倒壊すれば大変なことになるのはわかるが、個人や中小零細が搾取されるという構図はやはり資本主義の弊害であるとつくづく思う。

政治家が、大銀行などの資本家には頭が上がらないといった理由で個人に痛みを求めているのだろうか。
そうであれば資本主義を、少なくとも今の行き過ぎた商業主義と利潤追求、資本家による一方的な搾取の構図は見直さなければならないと思う。

大手メディアも大銀行や◯◯不動産といったところからスポンサー料をもらっているから、こうした疑問を呈することはないということだろうか。

いままで資本主義を当たり前に受け入れてきたが、コロナが社会を転換する変革点になるのかもしれない。


人新世の「資本論」【電子書籍】[ 斎藤幸平 ]





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最終更新日  2021年08月20日 06時27分22秒
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