カテゴリ:読書のココロ(小説)
![]() 恋愛ではなく、「変」愛。 一風変わった11の変則的恋愛短編小説集。 翻訳ものですが、訳者である岸本さんの文章はとても読みやすく、 原作の雰囲気を損なわぬように丁寧に書いていらっしゃるので 作品の個性が際立ちます ![]() おそらく原語で読んでも、そんなに印象は変わらないのでは? 【目次】(「BOOK」データベースより) 五月(アリ・スミス) 僕らが天王星に着くころ(レイ・ヴクサヴィッチ) セーター(レイ・ヴクサヴィッチ) まる呑み(ジュリア・スラヴィン) 最後の夜(ジェームズ・ソルター) お母さん攻略法(イアン・フレイジャー) リアル・ドール(A.M.ホームズ) 獣(モーリーン・F.マクヒュー) ブルー・ヨーデル(スコット・スナイダー) 柿右衛門の器(ニコルソン・ベイカー) 母たちの島(ジュディ・バドニッツ) 中でも印象深かったのが 可憐な白い花の咲く木に恋をした女性と、 そんな彼女を見守るルームメイトを描いた『五月』。 庭の芝刈りにきた若い男に惚れて 彼を体内に呑み込んでしまう人妻を描いた『まる呑み』 末期の病に犯された妻の最後の望みを叶えるため 注射器を用意して共通の友人と3人で最後の晩餐をとる『最後の夜』 皮膚が徐々に銀色に変色し、やがて全身を宇宙服で覆う病に犯された恋人が 宇宙に飛び立つのを必死に食い止めようとする『僕らが天王星に着くころ』 妹のバービー人形と恋に落ち、 バービーのBFのケンと妹も交えた奇妙な四角関係の顛末『リアル・ドール』。 『五月』は 好きで好きでたまらない木が他人の敷地の中にあるくるおしさと、 そんな変愛を見守るルームメイトの関係性が切なくて愛おしい。 『まる呑み』は 飲み込んでしまった男との体内セックスなどがちょっとグロテスクだけど あまりに突飛な発想だからか、読んでいるとそう気持ち悪くもない。 『最後の夜』は 晩餐の後の展開にぞくりとさせられる。 岸本さん曰く 「カカオ99%のチョコのような激苦な読後感」 『僕らが天王星に着くころ』は 「愛」とはただの「所有欲」なのでは?などと考えさせられるような話。 『リアル・ドール』は ドールとのセックスなどの変態っぽさと、文章のコミカルさが絶妙。 翻訳した海外文学の文体というのがどうも苦手な私でも、 まったく違和感なく、とても面白く読み進められました。 内田百?や、初期の川上弘美作品より ずっと「ぶっとんだ」世界。 外国ならではの世界観も垣間見られ、 面白かったです ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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