カテゴリ:読書のココロ(エッセイ・その他)
【内容情報】(「BOOK」データベースより) 衣食住に困らない、平和なこの場所で。 高橋源一郎、長嶋有、中島たい子、一青窈、竹西寛子、山崎ナオコーラ、川上弘美との文学対談 ほむほむはやはりタダものではない。 もちろん、ホンモノの歌人や詩人といったひとたちというのは その感性の非凡さ故に歌人や詩人たるわけで ただひとりとしてタダものであるはずがないのであるが ずっとエッセイの中のほむほむの幻影にだまされていた。 彼奴は世界音痴のダメダメな冴えない男を装った とんでもないくせ者であり切れ者だ。 どの対談も興味深かったけれど 特に長嶋有さんと(このかた、ずっと女性だと思ってました) 一青窈さんの内容が良かったです。 中でも一青窈さんとの話のなかの 思いや感情を水に、言葉をその器に例えた話が とってもわかりやすくてgoodなのです。 長いので要約すると 「情報」はコップに入れて渡せるけれど 「感情」や「思い」はそういう器では渡しきれない。 じゃあどうやって伝えるかというと スポンジに水をしみ込ませてジャーッとしぼる、とか 氷にして素手で相手に渡す、とか、 口に水を含んで口移しで渡す、とか。 そういったことで相手に感情を伝えるのだ、と。 そうそう! そういうことなのよ! と、何度も頷きながら読みました。 詩や物語といった活字表現だけではなく 絵画でも音楽でも、芸術というものは どれもはっきりと形やことばにしてあらわせるようなものではなく 肝心なもの、作者がいちばん表現したいものは、 その核となるパッションであったり、 あるいはココロのモヤモヤであったりするのだけれど そういった形にしにくい感情を どうやったらダイレクトに、なるべく作者のかんじたままに 受け手にとどけられるのか。 それをスポンジや氷を例えにわかりやすく表現してくれているほむほむ。 こういう、理論では言い表せない ほんとうにむずかしいことを さらりとわかりやすく、一瞬のうちにいってのけるほむほむは ホントに常日頃から言葉を慈しみ、アンテナを磨いて、 表現というものに真摯に向き合っているのだなあと感じました。 そうでなければ、対談という瞬時のことばのやりとりで あれだけのことは言えませんもの。 一青窈さんとの対談では、ほかにも 文字(作品)のパッケージ、 例えば文字のフォントや空間、ジャケットなどへのコダワリの姿勢も共感できました。 言葉の力や、直接説明しなくてもそこに備わり伝播する呪術性を 「ぼくはそういうものの力を信じているんですよ」 という、ほむほむの力強い言葉にもグッときました。 でも一番驚いたのは… ほむほむが、エッセイを 自分を「カッコイイ男」に見せようとして書いている という衝撃発言 ・・・これもまた、ほむほむの仕掛けた罠なのでしょうか? こんなキレものが傍にいたら ぐらりときてしまいそうな自分に読後気づいて呆然でした(爆) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.01.11 23:12:54
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