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ベルギ-永住ミステリー小僧のブログ

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2023.03.27
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カテゴリ:恋愛



​その日から僕の人生は変わった。​


毎日彼女と会うことができる。ずっと一緒にいられる。そして彼女もそれを望んでいる。夢のようなことでした。

思え返せば、それまでの僕の人生で相思相愛、つまり両想いの関係に至ったことは唯の一度もなかったのです。片思いだらけでした。シャイだったことに加えて、高校は男子校、大学は工学系学部でほぼ女子に無縁な環境だったからかもしれません。



彼女のことを僕はスーリエと呼んでいました。彼女の微笑む顔が魅力的だったので、フランス語の微笑むという動詞Sourireからとったものです。この呼び名は2人ともかなり気に入っていました。


そしてこれはほかの誰も知らない、僕らの間だけで通用する呼び名だったのです。

このことがず-と後になって、抜け殻のような存在になっていた僕を一瞬ではありましたが、かつての溢れんばかりの喜びをもたらす結果になるなんて、この時の僕には知る由もないことでした。

お互いの気持ちを知ると、僕等の仲は急速に親密になっていきました。

鳥籠に入れられていた鳥が扉が開いたときに、一瞬躊躇した後、急いで籠を抜け出し喜び勇んで自由な空に向かって羽ばたいていくように。僕らはきっとそんな気分だったんです。要はタガが外れてしまったんですネ。

授業後、クラスメ-トから逃げるように急いで別れた後、中央線の揺れる車内で僕らはいつの間にかお互いの背中や腰に手をまわして支えあうようになっていました。

そこから抱き合うようになるまで、それ程時はかからなかったと思います。車内でキスをしたこともありました。ちょっと刺激的でしたが、恥ずかしいという気持ちはなかったと思います。
   

                                       

こんなに大胆になれたのは。僕はもともと恋愛はオープンにしたい、という願望がありましたし、数か月前にヨーロッパを旅した時に見た恋人たちの自由で情熱的な振る舞いに魅了されたせいかもしれません。
でも、何よりも僕らをそう仕向けたのは、お互いを信じあっていた安心感だと、これを書いている40年後の今、気付きました。この人となら何でもできる、いつも幸せな気持ちでいられる、と。恐ろしいほどピュアで、信じるという事に疑いを抱いていなかったんですね。うらやましい。


この頃僕らはほぼ一日中一緒にいたのですが、別れるときは死ぬほど辛かった。
接着剤で止められたお互いの手を無理やりはがすように別れた後も、自宅に戻り次第、僕らは電話で毎晩1時間以上話をした。

実際にはもう話すことなどないのに、受話器の向こうの君と会っていたかった、君の息を頬で感じたかった。まるで彼女が目の前にいるように。

時には、お互い受話器の前から離れられず、夜中の2時くらいまで、遠く離れている彼女の息の暖かさを感じていたら、受話器を持つ手が痺れているのに気が付いたことがありました。

ご存じだろうか、くちびるつんととがらせて、で始まる大瀧詠一のあの曲を、あの詩を。

夜明けまで長電話して
受話器持つ手が痺れたね
耳元に触れる囁きは今も忘れない

そう、今でいうCitypopsの代表曲である「君は天然色」です。

この曲を聞くと、時空を超えてあの頃の「僕」そして彼女の「息遣い」を思い出します。この気持ちを言葉で表現するのは、心の中ではハッキリしているのに、しっくり当て嵌まる言葉が見つからず、難しいしもどかしい。
正直言うと、情けないことですが、あの日に帰りたい、と思ってしまいます。



さて、そんな状況が続いたある日、僕はあることを彼女に提案したのです。本当に馬鹿げた内容でした。泣き笑い  この頃の僕は、本当にアホでした。




TO BE CONTINUED

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最終更新日  2024.02.16 05:36:39
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