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2008年02月08日
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カテゴリ:在宅ワーク

今、俺は深い悲しみに包まれているっす。
涙をポロポロ流しながら、作業を続けているっす。K君の事を考えると涙があふれてくる


ブン「この世界は続けるのが一番むつかしいんだ。だからどんな事があっても、めげないで続けるんだ。K君ならきっと出来るよ。」

K君「はい!僕は好きな道を決してあきらめたりはしません。」

1年前にK君は、こう言って業界入りした。
何があってもニコニコニコニコしていたK君。素直でまじめで、俺にとってはとてもかわいい存在だった。

半年後、驚くような電話がかかってきた。

K君「実は体を悪くしてしまい休む事になりました。本当にすいません。」

まさか?あのK君が? 
俺は正直ショックだった。この世界で生き残るのはものすごい確率だ。
この前ひさびさに、6年前にうちにいたミズと飲んだのだけど、考えてみればミズの同期もほとんどまわりにいない。

K君はうちに来て、服を脱いで、その体を僕に見せてくれた。
強くて、明るくて、ポジティブなK君の肉体はストレスによって破壊されつくされていた。見た瞬間僕はあやまり、彼に服を着せた。
心底気の毒に思ったし、わざわざ律儀に俺に報告しに来て、体を見せてくれたK君。
K君は実家で療養することになった。

おとといあまりの仕事の量にK君をひさしぶりにアクセスしてみようと思った。

ブン「K君、体どう?今はなにやってるの?」

K君「今はスーパーでバイトをしています。」

ブン「手伝ってほしい事があるんだ。自宅でできるし、機材やソフトはもちろん俺が全て提供する。わからない事は全て、俺が教えるから、久しぶりに復帰してみたいか?」

K君「わかりました。出来る事ならやってみようかと思います。」

俺は、ほっとした。彼に体を破壊させるほどの現場を紹介したのは俺だし、責任は感じていた。少しづつ俺の仕事をしていけば、現場にも復帰できるだろうと、勝手に想像していた。

先ほど、K君からの電話があった。

K君「申し訳ないのですが、やはりお断りしようと思います。実はまだ気持ちの方が駄目なのです。すいません。本当にすいません。」

彼の声はふるえていた。

俺が馬鹿だった。なんという事だ。
彼が破壊されたのは肉体だけではないという現実にやっと気がついた。
肉体以上に、精神を痛めていたのだ。

肉体の痛みより、心の痛みの方がはるかに強烈だ。そして、肉体は治療方法も多いし、他人から同情もされる。だが心は誰にも見えないのだ。
身をもって知っていた事に気がついてあげられなかった事にへこんだ。

この世界は残酷だ。自分に負けて消えていく人がほとんどだ。
そして、やる気も技量も才能もあるのに、仕方のない理由で続けられない人も大勢いる。

"永遠"という言葉は幻想だ。永遠の命なぞもちろん存在しないし、"永遠の愛"なんて、現実には単なる理想論であり、存在を確認したものは人類史上いない。
確実に存在するのは"瞬間"だけであり、俺たちには"明日"という言葉すらただのおとぎ話なんだ。"明日"が来てみなければ生きているかどうかさえわからない。

だけど、そんなおとぎ話をひたすら信じてなきゃ、やってられない。


ブン「K君。いいよ。もういいんだ。気にしないで、ゆっくり行こうよ。そうだ今度ご飯でも食べようか?J園の焼肉を食べよう。」

K君「はい。本当にすいません。」


常にスピードこそが最強の武器だと提唱する俺が”ゆっくり”という言葉を使う。
電話口のK君の声はひさしぶりに明るかった。僕は彼の子供の様な笑顔を思い出して、また泣いた。






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最終更新日  2008年02月08日 09時43分04秒
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