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カテゴリ:本
86’刊行。筒井康隆の長編小説。 左の装丁は新潮文庫。私のは徳間だ。失敗した…新潮の装丁の方がこの小説らしい。 「旅のラゴス」私は筒井康隆は飛びきり好きな作家ではない。今までは「七瀬シリーズ」や年代順関係なく気になったタイトルで購入し読んだくらいだ。今回も類に漏れずタイトルに惹かれ手にとった一冊。眠っていたが引っ張りだし先日読了した。 傑作。面白かったぁ。長編といっても連作の類い。ラゴスの旅の中での出来事が描かれる。しかし一遍一遍に完成は要求してはいけない。リズム感のある文体で疲れないで読める。しかしある一遍で趣きが変調する。「王道への道」そこからラゴスの人生が年数を飛び越え、ラゴスの周囲の社会が変革されていくのだ。ラゴスの想い至らぬところで激動する。しかしなんか冷静に客観視しているかのようにラゴスは自分の為すべき目的を遂行していくんだな。 最後の一遍が一番印象的だった。この小説はSFの括りに入れられているけれど、私はこの小説はラゴスの人生の旅叙詩のように感じた。 一遍が完結されず、次の一遍へと進む。しかしこの空白が空想を掻きたてるのだな。最後も物語としては完結されず余韻が残る。ラゴスの旅、いや旅のラゴスは続くのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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