編集者となって1年目、2年目の頃というのは、日々の仕事を覚えることに手一杯で、自分自身の力だけで著者の発掘 ・開拓をしていくことはまだまだ難しいことでしょう。 そのため新人の編集者は、先輩や上司に連れられて、彼らがお付き合いのある著者や今進めている本の著者のところに伺うということを繰り返す中で、著者との付き合い方や人脈の広げ方を学んでいくというのが一般的ではないかと思います。
そして、編集者としてある程度経験を積んでくると、著者とのつながりも少しずつできるようになり次第にネットワークも広がるようになってきます。 一人の著者に惚れ込んで、将来、何冊も執筆をお願いするような場合もあるでしょうし、残念ながら、結果として一冊の本だけのお付き合いで、それ以降は疎遠になってしまう方というのも出てくることでしょう。
これは自分の経験からですが、自分と波長の合う著者というのは、結果として良い本作りができるというのが私自身の実感です。 また、その時は執筆をお願いするということまでは考えていなくても、お会いした際にいろいろとお話をする中で、 「自分と波長が合うな ~ 」 と感じた方には、その後、何度となくお会いして、結果的に執筆依頼をしていることが多いというのも事実です。
編集者にとって、 “筆が立つ” 著者を一人でも多く見つけ出すことは、とても大切な仕事です。 しかし、ただそれだけの視点で、その方を著者として迎え入れるということであれば、それはとても大事なものが抜け落ちていると思います。
著者に原稿を依頼する前にまず何よりも大切なことは、その方との信頼関係を築くことだと思います。 そのためにも、自分が “この方には” と感じたときから、積極的にその方とお会いする機会を作るように心掛けていくことが重要となります。 互いに信頼関係を築けないままでは、心のこもった本作りはできません。 たとえ本という形は作ることができても、そこには、読者に向けて肩を組んだ著者と編集者の心は見られないことでしょう。
「まず何よりも著者との信頼関係を築くこと」、これから編集者になる方にぜひ心掛けて欲しいことの一つです。