出版業界への就職を考えている方々が悩むことになるのが、「自分はどの出版社を目指すべきなのか」 ということではないかと思います。 皆さんの中には、 編集者という職業に何となく憧れがあって、 「本 (雑誌) 作りができるのであれば、どこでも」 という姿勢の方も少なからずいるのではないかと思います。 そうした姿勢を否定するわけではないのですが、 編集者になりたいというからには、 “自分はどんな本 (雑誌) を手掛けたいのか” ということを、しっかりと考えることがとても大切だと思います。
もちろん、 「自分はいろいろな分野に取り組める出版社に就職したい」 と考えている方もいると思います。 そうした場合には、社内に複数の編集部があるような総合出版社を目指すことになると思います。でも、 出版社のほとんどが、 ある分野に特化した (どんな分野でも扱うのではなく、自社の強みを発揮できる分野に注力している) 専門出版社であることを考えると、あまり上の考えに固執し過ぎると、それに適した出版社が必然的に限られてしまいます。
また、 すでに自分が手掛けていきたい分野が明確になっている方は、 その分野に強い (その分野で有名な) 出版社への就職を目指して活動しているのではないかと思います。でも、やはりこのことに固執し過ぎても、上と同じように出版社が限られてきてしまうと思います。
(これは以前から変わらないことではありますが) 出版社の採用状況が厳しいことを考えると、
1. いろいろな分野に取り組める出版社に就職したい
2. 手掛けたい分野はこれしかないので、それが実現できる出版社に就職したい
のどちらの考えでも、そのことに固執してしまうと、就職のハードルをますます高いものにしてしまうと思います。
もし1のように考えているのであれば、さらに一歩踏み込んで、「いろいろな分野の中で、自分が特に興味・関心が高いのは何か」 と掘り下げてみて、そして、2のように考えているのであれば、 周辺の分野へと横に広げてみるとよいと思います。
総合出版社の編集者、専門出版社の編集者にかかわらず、編集者というものは好奇心が旺盛で、常にアンテナを張って、日頃からいろいろな分野に興味・関心を持つことが大切なわけですが、就職活動という場面においても、 一つの方向や考え方に固執し過ぎて、 開けるべき扉も開けず、 トライすべきこともトライせずにチャンスを逸しないよう、柔軟かつ広い視野を持って頑張って下さい。