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カテゴリ:音楽一般
何てこった、クリス・クリストファスンの訃報。彼は間違いなく僕のヒーローの一人だった。享年88歳。
クリス・クリストファーソンと表記されるけど、誰に聞いたかな?アメリカンに、正しくは、トにアクセントがかかるので、クリス・クリストーファスンという発音が正しいと言われた。まあ、ここでは、クリストファスンとしておく。 大学ではアメフトの花形プレイヤーだった。しかし、ドロップアウトして放浪。カントリーミュージックに目覚め、ジョニー・キャッシュに認められソングライター・デビュー。自身の歌うアルバムも発表し、“ミー&ボビー・マギー”はジャニス・ジョプリンに歌われ不朽の名曲となった。彼自身もナンバーワンソングがある(“ホワイ・ミー”)のだけど、あまり知られていないだろう。敬虔なクリスチャンの支持によるものか。 そのルックスから映画俳優としても活躍。本格デビューは、あのサム・ペキンパー監督作の「ビリー・ザ・キッド 21歳の生涯」'73の主役だ。まあ、事実上の主役はジェームス・コバーンではあったけれど、以後、カントリー歌手以上に俳優としてのキャリアが主になっていく。 順風だった彼の俳優キャリアだが、マイケル・チミノ監督の「天国の門」'80の主役というのはインパクトが大きかった。歴史的失敗作と烙印を押された同作の出演の後は、俳優としてはB級作品や悪役等が増えた。しかし、歌手としての彼のスタンスは変わらず、ボブ・ディランにも曲を取り上げられたり(ディランのデビュー30周年トリビュートコンサートの司会も務めた)、同郷の盟友ウィリー・ネルソンらとの活動もでも存在感を示す。 ウィリーと共演した映画「ソングライター」'84は未見だが、この映画のサントラは非常に愛聴した(カセットテープで!)。ロックなアプローチの曲も多く、クリスののったりしたヴォーカルながらもメッセージがつたわる佳曲が多かった。その、ウィリーやキャッシュと組んだ「ハイウェイマン」では商業的にも成功。まさに、ヒーロー揃い踏みであった。 その頃の映画で、「ソングライター」のアラン・ルドルフ監督作の「トラブル・イン・マインド」'84が忘れ難い。クリスの魅力といえば、あの風貌からも分かるように、その包容力。ゴールデングローブ賞を受賞した「スター誕生」'76では、あのバーブラ・ストライサンドでさえ温かく包み込んだ。髭と長髪の、あの優しい風貌は、かつての男の理想像のような面持ちであった。彼のような、男の中の男のような存在は、もう世間には求められていないのかも知れないけれど。 2020年だったか、映画のセリフが覚えられなかったりライヴ中に歌詞を忘れたりといったことが続き、潔く引退を表明した。若い頃のボクシングとサッカーの影響かとか書かれていたけど、サッカーではなくアメフトだろう。それでも、ウィリーの90歳記念コンサートに呼ばれて出演を果たしている。それが、最後のライヴだったろうか。 まさに、人はいつか衰え、いつかその活動を終える時がくる、クリスのような人でさえ。それは悲しいけれど現実なのだ。そんなことを改めて思い起こされる今回の訃報。それでも、クリスは僕にとっての永遠のヒーローだ。その生き様を少しでも追えたら。さらば、クリス、マイ・ヒーロー、あなたの活動のことは決して忘れません。残りの人生であなたのことを追っていきたい。RIP お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年10月03日 23時36分27秒
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