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カテゴリ:茶木の音楽紀行
部屋で荷物を下ろし、一息付くと自分がとても空腹であることに気が付いた。
懐かしい黒電話でフロントに「何か食べる物を部屋に持って来てはくれないか?」と 日本語で尋ねた。 電話にはさっきの店主が出て、何か韓国語で言って電話を切ってしまった。 僕はやれやれと思い諦めてベットに腰掛けたが、その時ノックがして、開けると店主 が立っていた。 彼はどうやら内容を尋ねているようだった。 財布には飛行場で両替しておいたウォンが小銭で少しばかりしかなかったので、手の ひらにそれを乗せて「これで何か食べたい」と言うジェスチャーをした。 彼は僕を隣にあるレストランに連れて行ってくれた。 しかしそこはレストランと言う感じではなく、ジャッキーチェーンの映画に出てきそ うな物すごく古い食堂だった。 床は土で、机は古い木で真っ黒だった。 僕と店主はその机に向かい合って座って黙っていたが、「何処に行っていた?」と彼 が英語で尋ねて来た。 「ドイツ」と僕は簡単に答えた。 そこに店のおばさんが注文を聞きにきたので、僕はまた小銭を見せて「これで何が食 べれる?」と尋ねた。 おばさんは少し考えて「プリン」と答えた。 もうプリンでもいいから食べたいぐらいお腹が空いていたので僕はプリンを注文し、 また彼と向かい合った。 彼はにこにこしていたが、お互い話すだけの語学に乏しいので、彼は席を立ち、向こ うでさっきのおばさんと少し話し、「自分はホテルに帰るので、食べたら戻ってこい よ」的な事を言って出て行った。 僕は一人でしばらく座っていたが、おばさんが蓋のついた丸い金の食器のような物を 僕の前にドスンと置いてまた忙しそうに何処かに行ってしまった。 僕はこれは何だろうと蓋をそっと開けて見ると、中はぎっしり入った白いご飯だった 。 「これはどういう意味だろう、プリンはどうなったのだろう」と訳が分からないでい た。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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