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カテゴリ:茶木の音楽紀行
蓋つきのご飯が入った食器を前にして、僕はどうしていいか分からずじっとそれを見
ていた。 しばらくすると、おばさんが小皿にのったおかずのようなものを5・6皿僕の前に並 べた。 その後から別の人が大皿のおかずとキムチスープを2・3皿運んで来た。 料理の皿で机は見えなくなるぐらいだった。。 僕はおばさんの顔を見上げた。 おばさんはどうぞと言うようににっこり微笑んだ。 僕は枝に小さな輪っかがついた金のお箸でキムチスープを飲んでみた。 日本では考えられないぐらい辛かったがとても美味しかった。 他の料理も食べてみたがどれも独特の香辛料の香りがしてとても辛く、磯の香りがし て、とても美味しかった。 僕は今でもその時の料理の味が忘れられない。 それ以来世界の料理の中で、韓国料理が一番好きになった。 日本ではああいった味には出会えない。日本風に少なからずアレンジされているのだ 。 僕は韓国の味そのままが日本人にも一番美味しいのではないかと思う。 しかし韓国の人々は一人でこんなに食べるのだろうか? とてもじゃないけどこれを全部は食べきれない。 ご飯だって1/4も食べられないし料理もたくさん残し、僕は席を立った。 おばさんの所へ行き、あるだけの小銭を出したがおばさんはそれを押し戻して、ホテ ルの方を指差し何か言った。 おそらく僕が想像するに、「ホテルの店主がすべて支払ったから心配するな」と言う ことみたいだった。 僕は頭を下げ、店を出てホテルに戻り店主に礼を言おうと思ったが彼はフロントには いなかった。 僕は部屋に戻り、眠った。 次の朝フロントへ行くと、別の男が座っていて、「もうすぐ飛行場へ行くバスが来る から、入り口の前で待っていろ」とたどたどしい日本語で言った。 僕は急いで荷物をまとめ、ホテルの外に立った。 町並みはとても古く、日本の古い町並みとは趣の違う独特な感じだった。 この辺は大都会ソウルの旧市街に位置するようであった。 バスがやって来て、僕は他の何人かと共に乗り込んだ。 これで飛行場に戻れると思いほっとしたが、結局店主に礼が言えないままだった。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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