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カテゴリ:茶木の音楽紀行
しばらく三人で黙り込んでいたが、そのうち彼女は眠ってしまった。
とてもあどけない寝顔だったので、本当は彼女がいくつなのか分からなくなって来た 。 短いスカートがどうしようもなく気になるので、僕は自分の長いコートを彼女の肩口 から掛けてやった。 それで僕たちも落ち着いて眠った。 がやがやした音で目が覚めると外はもう明るく、人々が乗り込んで来ていた。 座ったままで長い時間眠ったので首や腰が痛く、僕は立ち上がって伸びをした。 後の二人も目を覚まし、皆で持っていたクッキーを食べて朝ご飯代わりにした。 彼女は座席の上に横座りして、僕のコートを首までかぶっていたので、「寒いの?」 と尋ねると首を縦に振った。 「バッグに上着とかズボンとか持って来てないの?」と柴田が尋ねると、横に首を振 った。 少し大きな駅に何分か停車した時、柴田が走って昼に食べる駅弁と温かいお茶を買っ て来てくれた。 彼女はそのお茶を飲み温もったようで、そのうち陽も高くなりぽかぽかと暖かくなっ て来た。 昼になり、弁当を食べた。 うまい釜飯だった。 「僕たちとあまり話したくないのは分かるけど、そろそろ名前ぐらい教えてよ!」と 柴田が言うと、「親がつけた名前だと思うだけで自分の名前が大嫌いなの!」と彼女 は今までに聞いた事のないぐらい長い文章をしゃべった。 「じゃー僕たちで勝手に付けちゃうか!」と僕が言うと、「プー子」と柴田が言った 。 僕とプー子は思わず吹き出した。 その時ドスンと言う大きな音がして、驚いてそちらを見ると一人のおじいさんが床に 倒れていた。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.11.23 08:51:27
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