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カテゴリ:茶木の音楽紀行
「戦地で無くしたんだ」と彼は答えた。
「触ってみてもいい?」とプー子が尋ね、「いいよ」と彼は答えた。 プー子はズボンの上からくまなく義足を触り検分し、足が途切れている所まで調べた 。 彼は不快そうでもなく、嬉しくもなさそうだった。 「フィリピンで敵と激しい戦闘になって、私の前で戦友が撃たれその弾が彼の体を突 き抜け私の足に当たった。 そして私の足の中で弾は粉々になったんだ。 足を切断するしかないと言われたよ。 私はいやだと言って泣いた。 今の医学ならこの足も助かったかもしれないが、でもそこは戦地で充分な設備もない 所だ、切断しなければ腐って来ると言われそうするしかなかった。 足が無くなった後も無いはずの足が痛むんだ。 足が無いことで戦争が終わってからも随分多くの事を諦めなくてはならなかったよ。 「戦争に行かなくちゃならないってどんな気持ちなの?」とプー子が尋ね、少し黙っ た後、ハー!と彼はため息をついた。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.11.26 08:27:28
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