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カテゴリ:茶木の音楽紀行
初めての戦闘を経験した時、あー!その時初めて戦争という物が解かったよ。
岩陰に腹ばいになってもう闇雲に銃を撃ち続けた。 倫理とか差別とか道徳なんて考えている余裕はない。 とにかく殺すか殺されるかだ! 頭の上を弾丸が雨のように飛び交い、そんな中で生きて帰るなど不可能で、気がおか しくなって奇声を上げて飛び交う弾の中に踊り出て行く者もいるし、「ばんざい!」 と叫びながら銃を打ち続ける者もいる。 私は横の戦友と「諦めるな!」と励ましあいながら銃を打ち続けていたが、「キュン 」と言う音がして気が付くと隣でもう彼は死んでいた。 私がいた部隊はほとんど壊滅し、奇跡的に私は生き残った。 生き残った者で其々の死体から遺留品を取り出してから、後はタンカーで大きく掘っ た穴に集めて焼いた。 そんな経験の中で私の人間の死への意識はとても鈍感になっていった。」 そこで彼は突然黙り込んだ。 僕たちの興味の無い事をべらべら一人でしゃべり過ぎたと思ったようだった。 でも僕たちは身じろぎもせず彼の話に聞き入っていて、プー子もじっと彼の横顔を見 つめていた。 「いやー、べらべらとしゃべりすぎたな、戦争時代の話ばかりするじいさんには君た ちもうんざりだろう!ハハハ」と笑った。 柴田がバッグからウイスキーの小瓶を出して来て「少しやりますか?」と言い、「あ あ、いいね」と彼も答えた。 我々はさっき買ったお茶の容器の蓋にそれを注ぎ、プー子にはウイスキーの蓋に少し 注いで皆で乾杯した。 プー子はちょっと口にして咳き込んでから「不味い!」と顔を顰めた。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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