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カテゴリ:茶木の音楽紀行
中は薄暗く、天井は果てし無く高く、皆の声がそこにワンワンと響き渦巻いていた。
何千人という人が一度にミサに参列できるほどの木の椅子が並んで向こうの壁には大 きなパイプオルガンがあった。 十字架の形になっているドーム内を散策してまた入り口近くに戻って来た。 何気なく横の壁に目をやると一枚の絵がそこに掛けられていて、薄暗い所で目を凝ら して見てみるとマリアらしき人の絵で、エンジェルと花もありまさしくハイネが見て いたその絵だった。 しかしそれはケースに入れられている訳でもなく、「触るべからず」の札が添えられ ている訳でもなく、何百年も前にハイネが一人ぼっちでじっと見つめていただろうそ こに、手を伸ばせば届く所にとても無造作に掛けられていた。 僕が今一人ぼっちだからこそハイネにとても近付けたような気がした。 ドームを出てすぐ近くにある「フリュー」と言う古いクナイペに入って、ビールとソ ーセージとパンを注文して昼御飯代わりに食べた。 何と美味いビールだろうと思った。 濃くがあり、地下で自然に程よく冷やされていて、泡がとても美味かった。 まさしく世界に誇る味である。 僕は3回お代わりをして席を立った。 昼間からビールを堂々と飲んでも許されるのもこちらの特徴だ。 そのようにして1ヶ月が過ぎた。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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