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カテゴリ:茶木の音楽紀行
いつものようにクワストフと絨毯工場へ向かった。
少しずつ仕事にも慣れ、お互いの仕事の分担もスムーズにこなし、作業をする中で多 くの言葉を覚えていった。 相変わらずLKWの中でクワストフはしきりに話し掛け、僕も多少なりとも自分の意 見を述べることが出来るようになっていた。 でもそれは文法の成り立ちや語尾の変化などを理解して話しているのではなく、クワ ストフを初めとした周りのドイツ人の話し方を、その丸ごとの文章を真似して話して いたので、「こういった場合はなぜこのように単語が変化するのか」などということ は分からないまま変化させて話していた。 赤ん坊がお母さんの話し方から言葉を覚えて行くのと同じである。 僕はクワストフからその影響を多く受けた訳だが、一つ問題だったのは彼があまり上 品な男ではなかったということだ。 彼は度々車の窓を開けて、他の車の運転手と大声で喧嘩をし、僕にもそういう場合の 喧嘩言葉を教えてくれたり、変な歌を教えてくれたりした。 一度マルガレーテの車の中で歌ってみたことがあるが、彼女は顔を顰めて「全くクワ ストフは!信じられないわ」と言った。 どうやらそれは方言交じりのとてもエッチな歌だったみたいだ。 とにかくドイツ語を習い始めの大事な時期に辞書にも載っていない下品な言葉や言い 方ばかり覚えていった訳だ。 皆に「フワストフのドイツ語を真似してはだめだ」と言われたが、一番身近に居るの が彼だからどうしようもなかった。 でも分からない事や物の名前などその都度質問し続け、彼も丁寧に教えてくれ、見る 見るうちにスムーズに話せるようになって行った。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.01.24 10:04:34
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