カテゴリ:シェフの雑記帳
サンク・オ・ピエ秋のコースがご好評いただいております。そのデザートがこれ。手前のケーキはガレット・シャテ-ニュと名付けたケーキでここ3年連続作っています。ガレットというのはパンケーキみたいなものやクレープ系も含めてクッキーみたいなものもさす言葉で、まあ粉系の菓子生地を円形に焼いたものの総称とでもいいましょうか、、、。シャテーニュは山栗ですね。栗全般はフランス語でもマロンですが、山栗(天然物)を強調したい時にはシャテーニュと言います。 このケーキはイタリア産の山栗の粉とアーモンドの粉を合わせて100gと無塩バター100gと粉糖100gと卵100gを合わせたカトル・カールの生地の間にフランスのアルディッシュ産の山栗のペーストにたっぷりラム酒を利かせたものを挟んで焼き上げてあります。このラム酒がポイントなんですね!栗にラム酒は合うんですね。美味いですよ! アイスクリームは、アルディッシュ産の栗と乳製品だけで作ったアイスクリーム。卵は使っていません。あの有名なHGダッツのアイスクリームを研究したことがあるんですが、あのアイスクリームの独特味わいの秘密が自分なりに分かったんです。そのテクニックを応用して作っています。美味いですよ! 生チョコは、フランスの最高級ショコラメーカーのヴァローナ社のカラメリアというカラメル風味のショコラを原料にさらにカラメル風味を強化してキロ¥10000のゲランドの塩を加えてあります。まあ、塩生キャラメルと生チョコの中間的な感じですね。これは自分で試食した時にヤバイというくらい美味いと思いました。ちょっと他では無いでしょうね。 これらに合わせるこーひーが、、、 これです!一昨年に秋のコースのデザートを考えた時に、いつもさかもとこーひーの坂本さんにうちのデザートに合わせたこーひーを作ってもらっていたので、たまには逆に私がさかもとこーひーの定番ブレンドに合わせたデザートを作ってみようと考えたのが、栗のガレットと栗のアイスクリームとコアントロー風味の生チョコでした。その時イメージしたのが、さかもとこーひーの秋の定番ブレンド“ベラノッテ”だったんです。ベラノッテは年間通して私が一番好きなブレンドのひとつですからね。翌年からは、結局坂本さんがベラノッテをサンク・オ・ピエの秋のコース専用に修正ブレンドしてくれるようになったので、他では飲めないこーひーとなっています。 栗のケーキ、栗のアイスクリームにカラメルの生チョコとこーひーには相性よさそうですが、実は本当にばっちり合わせるのは意外と難しいと思います。まあ、普通のこーひー屋さんには何のことやらという話でしょうが、坂本さんの凄いところは、メールでメニューの説明をしただけで、前菜からデザートにいたる食事の流れやそのコースに私がお勧めするワインなども含めて、食べて飲んだ後のデザートに合わせ、食後を楽しくする絶妙なブレンドを作ってしまうという事です。 なんでも、私からのメールをイメージしながらお店のこーひー豆の入っている棚を眺めていると頭の中で自動的に引き出しが空いてブレンドのレシピができるそうです。そのほかにも普通に考えて別のブレンドをいくつか候補にあげたり、時にはわざと「これは絶対に合わないだろう」というのも作ったっりするそうですが、大抵一番最初に直感的に思いついたのが一番良いそうです。こうなるともう、モーツァルトみたいですね。モーツァルトはまるで一幅の絵を見るように頭の中で曲が出来てしまい、あとはそれを譜面に書き写すだけだったそうですからね。
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Last updated
Oct 14, 2013 07:44:30 PM
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