カテゴリ:シェフの雑記帳
もともとSPF (Specific Pathogen Free)とは、あらかじめ指定された病原体をもっていないという意味です。わが国のSPF養豚では、以下の疾病を指定しています。 1)排除対象疾病: オーエスキー病、豚流行性下痢症、伝染性下痢症、萎縮性鼻炎、マイコプラズマ肺炎、豚赤痢、サルモネラ・コレラ・スイス感染症、トキソプラズマ病 これらの疾病はトキソプラズマ病を除いて人体に影響はありませんが、養豚の生産性に大きな影響を与えます。また、ほとんどの疾病は感染したら抗菌剤などによる治療を施しても完治することはありません。したがって病気から豚を守るためには、健康な豚(SPF豚)を作出する技術と、それを増殖して普及につとめながら、その豚群に病気が侵入するのを防ぐことがすべてです。そこには高度の衛生管理技術が必要なことはいうまでもありません。上記の病気がなくなれば、それにともなってほかの病気もほとんど発生しなくなります。つまり、文字どおりの健康豚を飼育することができるわけです。その結果、抗菌性薬剤の使用は極端に少なくなり、薬剤残留の心配は解消し、薬剤耐性菌の出現を抑えることにつながります。
以上は、日本SPF豚協会のホームページからの引用です。SPF豚というと、無菌豚と思っている方も多いかと思いますが、そうではなく特定の病気を持っていない健康な豚ということです。人もそうですが、腸内には様々な細菌が住んでいますが、SPF豚の腸内にも細菌がありそれがいわゆる善玉菌が多くて健康な状態なんですね。 私が一番長く付き合っている肉屋さんの和喜多の伊藤部長がおすすめしてくれた豚肉です。肉質も柔らかく、脂もきれいな味わいです。何よりトキソプラズマの心配がないのが良いですね! 意外と知られてないのですが、牛鶏豚羊鹿猪兎鴨など食肉にはトキソプラズマ感染症のリスクがあります。それらの肉の生食または半生食には感染のリスクがあります。きちっと加熱すれば全く問題ないですが、牛肉などの場合はどうしても火入れが浅くなりがちなのでリスクがないとは言えないんです。 で、トキソプラズマ症という病気なんですが、一般的に成人が感染しても「ちょっと風邪をひいたかな? 」という程度でたいしたことはないのですが、妊娠中の女性が感染するとそれが胎児にも感染して、脳や目の障害が出ることがあります。ですから、妊娠の可能性がある女性は気を付けていただきたいんです。ただし、ポイントは妊娠初期に初めてトキソプラズマに感染した場合だけが問題で、妊娠以前にレアのステーキやレバ刺しや肉刺しなどをよく食べていてすでに感染した人は抗体ができているので、妊娠中に生肉などを食べても問題ありません。ただ、今は基本的に肉や内臓の生食はほとんどが禁止されていますから、感染して抗体を持っているということは少なくなると思いますので、女性は注意してください。 もう一つ、この病気は畑仕事やガーデニングや公園での砂遊びなどの土や砂からの感染する場合があります。主に猫の糞などが媒介します。あと、放し飼い猫がいる場合は猫砂の掃除などにも注意が必要です。完全に室内飼いの猫の場合は普通は問題ありません。その他詳しいことを知りたい方は こちらを見てください。あと、こちらも。
必要以上に神経質になることはありませんが、赤ちゃんの大事な命を守るためにお母さんになる可能性のある方は、おぼえておいてください。サンク・オ・ピエのメニューでは牛肉と鴨肉は赤い焼き上がりなので妊婦さんにはお勧めできません。そうなると、鶏肉(しっかり火を通すので安全)くらいしかなくなってしまうので、SPFポークがあると選択肢が一つ増えますね。 上の画像の料理は、南部鉄器のグリルパンでグリエにして、ディジョン産のマスタード使ったソースで仕上げてあります。特に豚肉はこうしてグリエにすると香ばしくて実に美味いですよ! しばらくお勧めメニューでやっていこうと思います。
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Last updated
Sep 13, 2015 04:14:52 PM
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