テーマ:猫のいる生活(136017)
カテゴリ:★ちょっとした読み物
# 057
くつしたの生い立ちを語る上で、忘れることの出来ないエピソードがあります。 いま思えば、この黒いチビ猫との出会いがすべての始まりだったのかも知れません。 それは、私たちがくつしたと出会う 1年かさらに少し前のこと。 その夜、私とまるは散歩に出ました。 家を出て数分、大きな幹線道路沿いの歩道を 運河にかかる橋の近くまで来たときのことでした。 ふと何か小さな鳴き声が耳に入りました。 「まる、何か聞こえる。」 そう言って耳を澄ますと、行き交う車の音に混じってかすかに「ピャ~ピャ~」と、か細い声が聞こえます。 辺りを見回しましたが何も見当たりません。 さらに視界を広げると、道路の中央 分離帯の雑草の陰に子猫らしきものが動いています。 行く当てを見失った子猫が たまたま車の途切れたすきに道を渡り迷い込んだのでしょうが、 再び道路に出れば走ってきた車にはねられかねません。 一瞬どうしようかと思いました。 しかし躊躇している間にも子猫は動き回り、道に出てしまいそうです。 「とにかく、」 と、車の途切れた一瞬を狙って横断し、 おどろいて逃げようとする子猫を まるが すばやく捕まえ、そしてさらに道を渡って歩道に戻り、なんとか子猫を助け出しました。 とても小さい真っ黒な子猫でした。 やっと目が開いたばかりといった感じ、出しっぱなしの爪は始終 体を捕まえられているまるの手を引っかいていました。 母猫とはぐれて迷子になったのでしょうか。どこから来たのか見当もつきません。 「どうしよう…」 正直 困りました。 その辺に放したのでは、また道路へ出てしまいます。 かと言って、うちに連れて帰るわけには行きません。当時、うちはペット禁止のアパートでした。 親猫を探そうにも手がかりがありません。飼ってくれる人を探そうにも、もう明日の朝から二人とも仕事です。 どこか安全なところへ放してやるしかありませんでした。 考えた末、住んでいるアパートの目の前にある公園へ連れて行くことにしました。 そこは木が多く広い公園で、数匹の野良猫も住んでいます。 気のいいメス猫が子猫の面倒を見てくれるかもしれません。 「猫おばさん」なる 野良猫たちに毎日エサをやりに来るご婦人もいます。 ここなら食いはぐれることなく生きていけるかもしれません。 それに、もしかしたらこの子猫もここで生まれて、母猫もここにいるかもしれない。 そんな淡い期待を抱きながら、子猫を放す適当な場所を探して公園を歩きました。 奥の茂みに近いベンチのそばに子猫を下ろしました。 ふと見ると、少し離れたところに大きな白猫が座ってこちらを見ています。 「あ、シロさん。お願い。 この子の面倒を見てやって。」 そんな勝手な言い分を聞くわけでもありませんが、シロさんは興味ありげに子猫に近寄りました。 クンクン… 嗅ぎ慣れない匂いだったのか、シロさんは 「シャーッ!」と威嚇します。 それでも子猫は平気でシロさんに近寄って行きます。 しかしシロさんは後ずさりしながら さらにペシペシ!と 軽い攻撃までしています。 「あぁ、だめか…」 とあきらめかけていると、ようやくシロさんも相手が抵抗しない弱い存在だと分かったらしく、 あらためてそっと子猫に近付き そばに座りました。 なんか大丈夫そう…、 と少し安心した私とまるは、 「シロさん、その子 お願いします。 チビちゃん、ごめんね。 大きくなってね。」 そう言って その場を後にしました。 面倒を見てやれないのに中途半端に助けたこと、 そしてまた公園に野良猫を増やすこと、 色んな無責任さを頭では理解しつつ、しかしこれが私たちのしたことでした。 その後どうしているのか、その黒チビちゃんを見かけることはありませんでした。 「きっとシロさんを頼りにして大きくなっているよね。」 相変わらず勝手で楽観的な考えをしながら、時々思い出すことはあっても日々の忙しさで 普段はもう半ば忘れかけていました。 HOME お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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そんなことがあったのね~。その時はそれが最善だったのよー。複雑な思いもわかるわ~。えっ、再開?もしかして?くーちゃん?
早く続きを読ませて~~。 (2006年10月08日 12時37分03秒)
なんだか運命的な出会いですね。シロちゃん、黒い子猫を育てて上げて!って思わずお願いしてしまいました。(T_T) 私も是非続きを読みたいです。
(2006年10月08日 16時26分49秒)
え~っ!今日はこれでおしまいなの???
続き続き! 私も同じようにしたと思います。 無責任さは感じてしまうかもしれませんが、 そうするしか無かったんじゃないかな。 世の中から可哀想なネコチャンがいなくなります様に・・。 (2006年10月08日 20時57分37秒)
過去にそんな出来事があったんですね。
以前実家で飼っていた猫(くーちゃん似です)も 兄が働いてる市場で捨てられてたんです。 兄が連れ帰ってきた事を思い出しました~ (2006年10月08日 22時37分51秒)
つ・・続きが・・きになります・・
私も似たようなことが・・ 私が学生の頃バンドの練習をしていたところが車の多い駐車場でしてそこに子猫が・・危ないし妙に人懐っこいので誰かにもらってもらおうと家に連れて帰りそのまま14年・・・いまだに家にいます・・・ (2006年10月08日 23時28分08秒)
>その時はそれが最善だったのよー。
■そう言っていただけると少し安心です。 >早く続きを読ませて~~。 ■おぉ、うれしいお言葉。 しばしお待ち下さいませ。 (2006年10月10日 19時21分57秒)
>まるちゃん大活躍ですね^^
■この言葉に、本人が大変喜んでおりました♪ もっと出番を増やして大活躍の様子を 書いてくれたらよかったのに~! って、主役はあなたではないのよ。 (2006年10月10日 19時24分31秒)
>なんだか運命的な出会いですね。シロちゃん、黒い子猫を育てて上げて!って思わずお願いしてしまいました。(T_T)
■ほんとに、シロさんがいなかったら 帰るに帰れなかったかもしれません。 ネコたちのたくましさに甘えてしまいました。 (2006年10月10日 19時26分05秒)
>え~っ!今日はこれでおしまいなの???
>続き続き! ■うぉっ、ありがとうございます。 期待に副えるような続きになるか… 頑張って書きますね。 >世の中から可哀想なネコチャンがいなくなります様に・・。 ■ほんとにそう思います。 野良が気ままで自由なんてことは 人間の勝手な発想だと思いますね。 (2006年10月10日 19時29分27秒)
>以前実家で飼っていた猫(くーちゃん似です)も
>兄が働いてる市場で捨てられてたんです。 >兄が連れ帰ってきた事を思い出しました~ ■そうなんですか~。 でもそのままご実家で飼われたってことは そのネコちゃんにとって幸運でしたね。 捨てるような人の家にいなくてよかったよ、って。 (2006年10月10日 19時33分34秒)
>誰かにもらってもらおうと家に連れて帰りそのまま14年・・・いまだに家にいます・・・
■いい話です。 運命の糸で繋がってたんですね。 一度手元に置いたら、可愛くて手放せなくなりますよね。 (2006年10月10日 19時35分17秒)
>まるでドラマを観ているような展開ですね。
■なんて言うか、 期待を持たせるわけではないんですが、 このあとさらなる展開があります。 >その後の更新待ってます!! ■はい、期待を裏切らないように… ぃゃ…裏切っちゃうかな…。 しばしお待ちを! (2006年10月10日 19時37分59秒) |
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