カテゴリ:ミステリー
本日ご紹介するミステリーは、汀こるものさんの「
フォークの先、希望の後」です。 タナトスシリーズ(?)の三作目になります。 ●あらすじ 立花家で魚たちの世話をすることになった浅岡彼方。立花家の不吉な噂を聞いていたものの、彼方には入院した父親のためのお金が必要だった。外で会った真樹に声をかけると、彼方は真樹と共に銃弾から逃げる羽目になった。 ●簡単な感想 これまでは高槻さん視点でしたが、今回は彼方視点です。外部から美樹や真樹がどう思われているのかがわかります。 意外なこともあったりして、それはそれで楽しいのですが、ミステリーという感じが薄かったです。 魚については相変わらずディープです。面白く読めました。続きを楽しみにしたいです。 以下はネタバレを含む感想です。 読まれた方のみ反転してご覧ください。 本編とはあまり関係がないですが、筒井さんが気になりました。メタファーの時点ではどうでも良かったですし、セクハラとかいう問題でもないと思いましたが、柚のお葬式でいきなり彼方を殴りつけたのは大人のすることではなかったです。その理由を彼方が説明してはいましたが、何人もの学生に自殺されているのなら、自分でもう少し対処すればよかったのに、としか思えません。事情もきちんと話さずにいきなり彼方を殴りつけて自分は全てわかってましたみたいな態度では最悪な人だとしか思わないです。 高槻さんの豹変ぶりには驚きました。二作目が三作目の間に入っていたわけですが、無防備な女子大生に拳銃を突きつけるほどの経験をしたかどうかを覚えてないです。一週間少々しか経っていないわけですから、気が立っていたのは仕方がないのでしょうけど。彼方は少し焦りすぎだった気はします。家を出ても大学に行けば母親に捕まるでしょうし、愚痴愚痴言われるでしょうし、家を突き止められれば元の木阿弥になるかもしれませんが、できることをやりきってなおどうにもできない状況だったわけではなかったと思います。実際、父親は亡くなってしまったわけですし。美樹の力を悪用しようとする人間を書きたかったわけでしょうから、無意味な話ですが。同情を引き過ぎない程度に、それでも浅はかだと思わせるくらいのちょうど良いバランスではあったと思うので良かったですが。 今回はアクネテンスの夏眠が最も興味深かったです。魚が土に埋まって雨を待つとは驚きました。夏眠から冷めるところは見てみたいです。 彼方は終身雇用されるようなので、今後も登場しそうですが、設定が設定なのであまりレギュラーキャラは増やさない方が良いようにも思います。 以上です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.04.13 21:48:06
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