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カテゴリ:歌舞伎・古典、観劇
一月は、浅草公会堂、歌舞伎座、そしてこの国立劇場で歌舞伎を観る楽しみを覚えてしまいました。
そういえば昨年は3日の初日に国立劇場で、関係者による鏡開き、休憩時間の獅子舞、その他おめでたい芸の披露に、日本のお正月の気分にどっぷりとつかって新春を祝い、一日を楽しみました。 テレビでその日の公演が生中継されていて、大変華やかな初日でした。 今年は千穐楽に観ることになりましたが、一月も終わりだというのに着物姿の観客も多かった。上演中の屋号の掛け声が普段より多く、お馴染みさんが集まっていたように思いました。 一月の公演中は毎日「手拭まき」(劇中で行われました)がありましたが、まく量が少ないので、一階席にいてもなかなかキャッチするのは困難です。受け取った人は、本当におめでたく思います。 国立劇場開場40周年記念公演の通し狂言『梅初春五十三驛(うめのはるごじゅうさんつぎ)』は、尾上菊五郎を中心とした’ないまぜ’の賑やかな舞台です。 題材は五十三次もの。主要人物のほとんどが、なんらかの縁で東海道を東に進んで行きます。 最初に登場人物全員が同じ場面で観客に顔見せをするのですが、ここで見知っては面白くありません。夜の闇の場面に’だんまり’(暗闇で何も見えないという設定で、登場人物がパントマイムで動くのです)で、隣に誰がいるのかわからない中、事件の発端が起こる、という歌舞伎ならではの趣向があります。 そしてみどころは、菊五郎の四役。菊五郎だけは、その場その場別人として登場人物とからむのです。 他の役者も主要な役を二役演じているので、それぞれ工夫が観られて観客も存分に楽しんだ感があります。 中でも菊之助の演じた権八と吉三郎は、外見が似ているという別人です。その違いを見せる工夫に、彼の表現力の豊かさを感じました。これからもいろいろな役に挑戦した姿を観たいと思わせる役者です。(さすが、蜷川演出の歌舞伎の『十二夜』で、双子の兄妹を見事に演じ分けただけあります。) 歌舞伎と言えども、おめでたい賑やかな作品の楽日の盛り上がりは大変なものです。出演者も、弾ける場面では弾けています。 若手は、余裕を見せるベテランの中で、一生懸命役作りをして臨んでいる印象を受けました。 若手が大きな役で作り上げる新春浅草歌舞伎、そしてベテランがサービス精神いっぱいに舞台を盛り上げる新春の国立劇場。 それぞれ特別な催しだけに、特別な趣向が楽しめます。 歌舞伎を初めて観る方には、これらの舞台から観るのはいかがでしょう? 特に国立劇場での催しは、他に比べて価格が押さえてあるので有り難いです。 ※27日で一月の公演は終わりました。来年をまたお楽しみに。 (国立劇場にて) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.01.29 18:24:36
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