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演劇、観劇のカフェ

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cms@ebisu

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2007.05.08
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パリのオペラ・ガルニエでの歌と踊りと音楽、そして映像のコラボレーション作品。

オーケストラの音楽にのって、まず舞台の上半分にあるスクリーンにダンサーの表情が映し出されます。
次第にそれがLIVEの映像であり、ダンサー全員が水着らしきものを着ていることがわかります。
等身大の、まさに飾らない彼らの姿がそこにありました。

さらに、スクリーンには湖、噴水、海辺の映像が背景として映し出されます。
しかしその映像の中に、LIVEでダンサーたちの姿が入り込んで映し出されようとは、思いもしませんでした。

その仕掛けはこうです。
オペラ座の舞台の床から側面に至るまで、すべてがブルーに塗られています。そこでダンサーたちが踊り、ポーズを取ります。
ちょうどブルーマットでの特撮のように、カメラに収まった彼らが、背景と一緒にスクリーンに映し出されるのです。
随分と洒落た試みですね。
舞台上で踊る彼らの姿も観られて、スクリーンではリアルタイムでそこに作られた映像を観ることができるのですから。

もっと凄いことに、音楽はオーケストラの生演奏であり、演奏されるのはヘンデル(1685年生まれのバロック音楽の作曲家)の楽曲。独唱のパートは正装した歌手によって歌われていました。そしてボーイソプラノの少年と。

スクリーンがちょうど目線にある、上の方の席で観ていました。
舞台の上にはダンサーと、3人の歌手だけ。しかし聴こえてくる合唱は・・・?
一般の観客に混ざって、最前列から3列くらいに合唱の団員が男女30人くらいはいたでしょうか。彼らはいわゆる黒い正装の衣裳ではなく、観客と同じような服装をしていました。
そして暗がりの客席の中で、舞台を背にして立ち上がり、小さなライトを胸のあたりに持って歌うのです。
隣に座っていた人は、いきなりすっくと立って歌い出す人々に驚いたことでしょう。
それが舞台とスクリーンとオーケストラピットも合わせて、見下ろして観ると妙に美しく神聖に思えるのです。

この作品は3部構成で、その間の休憩はなく、進行していきます。
その意外な技法(手法?)に驚いた後は、動物の仮面をつけたダンサーの登場です。
トウシューズを両手、両足に身につけ、よろよろと起き上がろうとするその姿は・・・
これは生命の誕生がテーマなのでしょうか。
最初の這いつくばった姿から、自分の力で立ち上がろうとするその様に、みなぎる生命力と自身で生きようとする力、この世に生を受けたことへの感動が伝わってきました。

ここまでくると、すっかり作品のペースに自分がはまっていることが認識できました。
白い中世の豪華なカツラをつけた男性が、動物たちの中に存在しています。その堂々とした姿が、やがてライオンのように見えてくる面白さがありました。
あの気取った男性に扮しているのは、ニコラ・ル・リッシュ(パリ・オペラ座バレエ団のエトワール)。
彼を筆頭に、世界でも有名なダンサーが続いています。
彼らの動きは、いえ動きこそが表情となって存在する姿は、常に場面を物語っているようでした。

作品の最終章。
スクリーンには、白煙の中を悲しげな顔で歩く人々が、スローモーションで映し出されています。
そして舞台の上では、今まで富の象徴のように着飾られていた衣裳が、いつの間にか高く積み上げられ、それが一気に崩れ落ちました。
スクリーンには、同時に高い建物が崩れ落ちていく様が映し出されています。
何のことか、おわかりだと思います。
そして、最後には、黒いキノコのような大きな雲も映し出されていました。

それは人々が作り出す社会と、繰り返してはならない物事を意味しているのでしょうか。
美しい肉体と歌声と演奏の中で、静かに物語は始まりと終わりを告げました。

その展開に、何度も何度もカーテンコールで拍手が送られていました。
観た人それぞれが作品から自分だけのインスピレーションを受けたことと思います。
新しい手法が、この伝統あるオペラ座の舞台に受け入れられる芸術となり、人々の心に訴える作品となる、本当の意味でコラボレーションが築いた作品だと感じ入りました。

この斬新な作品の観客の層として、中高年が圧倒的に多かったのも印象的でした。

MUSIQUE・Georg Friedrich Haendel、CHOREGRAPHE ET VIDEO・Robyn Orlin、
REALISATION VIDEO・Philippe Laine、COSTUMES・Olivie Beriot、LUMIERES・Marion Hewlett
注・本来ならフランス語表記のため、文字の上に ’ のつくものもあります。
(オペラ・ガルニエにて)

※写真は、終演後のオペラ座の劇場内。
伝統と風格が感じられるこの空間で上演されたのです。

☆(参考)使われていた楽曲は、Concerto Grosso op.6 No.10 in D minor





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最終更新日  2007.05.09 08:59:34
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