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カテゴリ:歌舞伎・古典、観劇
歌舞伎座の昼の部は5演目が上演されるという、新年に相応しく賑やかな幕開きとなりました。
前日は夜の部の観劇だったから、というのは言い訳になりませんが、残念ながら1番目のご祝儀舞踏の「猩々(しょうじょう)」には間に合わず、「一條大蔵譚」からの観劇となりました。 「一條大蔵譚」 これは義経の母の常盤御前を妻に迎えた、公家の一條大蔵卿の館が舞台です。 主の大蔵卿(吉右衛門)は世間から阿呆と言われており、源氏の再興を目論む吉岡鬼次郎(梅玉)と妻のお京(魁春)は、常盤御前の本心を確かめるべく館に入り込みます。 大蔵卿は噂どおりの阿呆ぶり。 常盤御前(福助)も楊弓に興じている姿を目の当たりにします。 しかしその本心は・・・。 ベテランの芸を堪能しました。 女狂言師として大蔵卿の前で舞う魁春の粋な姿には目を奪われます。 そしてなんと言っても、吉右衛門の阿呆ぶり。 イヤホンガイドの解説でその阿呆の演じ方を述べていましたが、「公家の品格のある阿呆ぶり」が肝心なのだそうです。 それが吉右衛門の見せ所。 最後に明かされる真相と合わせて、その芸を楽しみました。 「けいせい浜真砂」 これはもう、豪華な一幕です。 南禅寺の山門が舞台。 実際に南禅寺の山門に昇ったことがあるのですが、かなりの高さがあります。 その眺めを、ここではサブタイトルにある女五右衛門の傾城真砂路(雀右衛門)が発する「絶景かな~」の名ゼリフが聞かれます。 山門の階下のセットとともにセリ上がり、登場するのは真柴久吉(吉右衛門)。 ダイナミックな歌舞伎の舞台の醍醐味には溜め息が出ました。 二人の見得で幕となる、上演時間10分に美しさと豪快さが凝縮された歌舞伎ならではの贅沢な舞台です。 「魚屋宗五郎」 作・河竹黙阿弥「新皿屋舗月雨暈」のうち、この「魚屋宗五郎」の場がよく上演されます。 妹のお蔦が手討ちにされ、悲しみにくれる宗五郎(幸四郎)。 禁酒の誓いを立てていましたが、お蔦の朋輩のおなぎ(高麗蔵)からお蔦が陥れられたことを聞き、たまらずに酒を一口飲んだのが騒ぎのモト。 それを止めようとする小奴の三吉(染五郎)との絡みが、悲しい中にも笑いを生んで、情緒ある作品となりました。 さて、昼の部最後は、市川團十郎による「お祭り」。 ほろ酔い気分の人望の厚い鳶頭を、團十郎が見るからに頼もしく見せてくれる舞踏です。 歌舞伎の様々な要素をたっぷりと見せる、初春の昼の部でした。 ※公演詳細は歌舞伎公式ウェブサイトで。 (歌舞伎座にて) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.01.16 09:00:04
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