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カテゴリ:コンプライアンス
コンタクトレンズ大手のシードが、薬事法違反で東京都から21日間の業務停止処分を受けました。強度を保つ「架橋剤」の含有率が承認を受けていた量と異なっていたことが理由だということです。 法令違反は決して許されるものではありませんが、コンタクトレンズの規制は厳しすぎて、消費者が迷惑していることは事実でしょう。「規制は誰のためにあるのか」が問われる数多くあるケースの一つだと思います。 さて、本題。 <ケーススタディ> 検査の実態を知るために、今日から、実際に証券取引等監視委員会が金融商品取引業者の過去の検査で指摘した事項を取り上げて、ケーススタディーをしていきましょう。 <検査指摘事項> 手元に、「金融商品取引業者等に対する検査の結果指摘した事項の主なもの」を印刷して用意してください。 今日、取り上げるのは、法令違反ではなくても検査で指摘され、改善を要請された事項です。 <社内規則遵守の重要性> 「当社は、1.当社の社内ルールである「コンプライアンス基本規程」において、「コンプライアンス・プログラム」を策定し、コンプライアンス・プログラムの運営体制、コンプライアンス実行計画、研修計画等、必要な事項を定めるとしているにもかかわらず、当該コンプライアンス・プログラムを策定しておらず、2.コンプライアンス基本規程において、定期的に法令・諸規則等の遵守に関する自主点検すると定めているにもかかわらず、当該自主点検の実施に関する規則を策定しておらず、また、自主点検も実施していなかった。 さらに、3.広告等の審査に係る社内規程が整備されておらず、当該審査に係る記録・資料が組織的に保管されておらず、その結果、広告審査が実際に行われたか否かについて事後的に検証できる態勢となっていなかった。」 <社内規則の重要性> 指摘事項は、まず、「コンプライアンス・プログラムを定めると社内ルールにあったにもかかわらず、定めていなかった」という点です。一般化して言うと「社内規則を守らなかった」という指摘です。 社内規則は、自主的に定めるものです。「自主的に定めた社内規則を遵守できない者が、どうして法令を遵守できようか!」(いやできない)と考えられますから、社内規則違反は、相当に重い罪であると考えなければなりません。 逆に言うと、「できないことは社内規則に書くな!」ということです。 参考までに、できないことの典型例に「定期的」と「徹底」がありますので、コメントしておきます。 <定期的> よく、社内規則に「定期的に点検する」というような形で、「定期的」という言葉を使う会社がありますが(というか、多いですが)、「定期的」と書いた以上は、必ず、定期的(例:毎日、毎月末、四半期末)に実施しなければなりません。 定期的にできないことを、格好だけで「定期的」とすると、はっきりいって命取りです。今日取り上げた検査の指摘事項でも、「定期的とあるのにやっていなかった」という点が指摘されています。 また、私の検査経験でも、「定期的にミーティングを行うものとする」と社内規則に書いてあったにもかかわらず、頻度が「定期的」ではなかったという一点で、検査指摘事項となったことがあります。 <徹底> これも多くの会社で見られますが、「社員に周知徹底する」というように「徹底」という言葉を安易に使うことも考えものです。 私の検査経験では、「徹底とあるが、本当に徹底されているのか」と指摘されたことがあります。 「徹底とは、文字通り徹底の意味で、社員に周知徹底する、というとことは、社員全員に完全に理解させた、という意味だが、本当か!?」という指摘です。 徹底できる自信がないのであれば、「徹底」という言葉を軽々しく使用するものではありません。(もちろん、徹底を目指すのはいうまでもありません。) 今日は、ここまで。 続きは、明日以降お話します。 金融商品取引法について何かわからないことがありましたら、ホームページ「これでわかった!金融商品取引法」の「お問い合わせ」から、お問い合わせください。 お問い合わせは、必ず、ホームページのフォームからお願いします。お電話のお問い合わせには回答しかねますので、ご了承ください。 行政書士は法律で守秘義務が課されています。秘密は厳守しますので、ご安心ください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/09/10 01:42:29 PM
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