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このところ、TPP(環太平洋経済連携協定)の危険性を指摘する意見が広がり始めているようだ。昨年10月に菅直人首相(当時)が所信表明演説で取り上げて以来、マスコミはTPPを推進するべきだという報道を続けてきたのだが、こうした「報道機関」が語ろうとしない闇の部分があることを多くの人が気づき始めている。
報道されない部分に知りたい情報があると考える人びとは、マスコミが重要な情報を隠していると批判するわけだが、それに対する典型的な回答のひとつが「編集権」なるものだ。何を報道するかは自分たちが決めるのであり、読者や視聴者は文句を言うなという態度だ。 マスコミ社員に限らず、心の内面を外部から知ることはできない。TPPにしろ、原発の危険性にしろ、アメリカ政府の情報活動や破壊工作にしろ、マスコミ社員が報道したがらない心の中を知ることはできず、ただ察するしかない。確かなことは、報道しないという事実。情報を伝えないのはテレビ、新聞、雑誌だけでなく、出版社も翻訳を出す際にページ単位で削除したり書き換えてしてしまうこともある。 時代によって程度の差はあるが、日本やアメリカの支配層にとって都合の悪い情報をマスコミは昔から報道したがらない。最近はインターネットの普及によってそうした現実を多くの人が知るようになり、「言論機関」なんていう幻想が消滅しつつあるというだけだ。 過去を振り返ってみると、権力に立ち向かったジャーナリストもいるが、それはあくまでも異端の人。企業としてはプロパガンダ機関としての色合いが濃い。 日本では「自由の国」だとされているアメリカだが、1970年代の後半以降、そうした異端の記者は排除されてきた。収入源や情報源を支配グループに頼っている以上、当然のことなのだ。 しかし、それだけではない。より積極的に権力者たちはメディアへ働きかけている。例えば、第1次世界大戦の最中、1917年にアメリカ政府は戦意を高揚させるため、CPI(広報委員会)を設置している。この委員会に著名なジャーナリストで親英派として知られているウォルター・リップマンが参加している。その当時、毎週、約2万に及ぶ新聞のコラムでCPIの提供した資料が使われていたという。 戦後、アメリカが情報操作を目的としたプロジェクト(モッキンバードと一般に呼ばれているが、正式名称かどうかは不明)が1948年ころにスタートしている。 このプロジェクトで中心的な役割を果たしていたのは、第2次世界大戦中からアメリカの破壊活動を指揮していたアレン・ダレス、モッキンバードと同じ頃に創設された極秘の破壊工作機関OPCの局長だったフランク・ウィズナー、ウィズナーと同じようにダレスの側近だったリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムの4名だ。 以前にも書いたように、ダレスとウィズナーはウォール街の弁護士。ヘルムズの祖父であるゲイツ・ホワイト・マクガラーは国際的な投資家であり、グラハムの義理の父、ユージン・メーヤーは金融界の大物である。 同じ頃、イギリスでもプロパガンダ機関が外務省の内部に設置されている。IRD(情報研究局)で、最大の目的は反コミュニストのプロパガンダを展開すること。MI6(イギリスの対外情報機関)やCIAとも緊密な関係にあり、勿論、多くのジャーナリストが関係しているが、それだけでなく、『アニマル・ファーム』や『一九八四』の作者として有名なジョージ・オーウェルもこの組織に協力している。 その延長線上にあるプロジェクトがBAP(英米後継世代プロジェクト)。1980年代から活動している。イギリスで反米感情が高まっていることを危惧した米英両国のエリートが始めたもので、そのメンバーにも少なからぬメディアの関係者が含まれている。このグループはトニー・ブレア英首相を支えていた柱のひとつだった。 日本の場合、記者クラブ制度がプロパガンダで重要な位置を占めていることは言うまでもない。その実態もインターネットの力で広く知られるようになってきたのだが、そうした時代の変化にマスコミ社員はついていけず、取り残されているようだ。手遅れの時期に小さく報道して「アリバイ工作」することもあるが、そんな小賢しいことをしても見透かされている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.11.06 17:20:41
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