27499168 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

《櫻井ジャーナル》

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

バックナンバー

2012.03.01
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
 「国防権限法(NSAA)」は2012年のキーワードかもしれない。昨年12月31日にバラク・オバマ米大統領がサインしたこの法律によって、アメリカ政府は誰でも令状なしに逮捕し、無期限拘留することが可能になった。つまり、愛国者法を強化する法律なのだ。政府の政策に抗議する活動、戦争であろうと経済政策であろうと政府の方針に逆らう人びとや団体を弾圧できるようになったのである。国外では自国民の暗殺も実行済みだ。

 要するに、シリアやイランと戦争する準備は整い、OWS(ウォール街占拠運動)を弾圧することも容易になった。在沖縄海兵隊のグアム移転関連費の全額削除をNSAAの本質であるかのように伝えることは間違っている。この法律の目的は戒厳令(愛国者法)を強化し、アメリカのファシズム化を促進することだと言うべきなのだ。

 シリアの体制転覆を目指す工作はジョージ・W・ブッシュ政権が始めている。内部告発支援サイト、ウィキリークスが公表したアメリカ政府の外交文書によると、米国務省はシリアの反政府派へ2005年頃には資金援助を開始、ロンドンに拠点を持つ衛星放送のバラダTVを創設、プロパガンダを始めている。こうした流れの中で築かれたネットワークが現在、シリアにおける「政府軍の残虐行為」の情報源になっている。

 イスラエルやアメリカの親イスラエル派(ネオコンなど)はイランやシリアへの攻撃を主張、国防総省もオバマ大統領が開戦を決断したときに備え、シリアとの戦争の「詳細なプラン」を作成したとも伝えられ、イスラエルがイランを攻撃する際にアメリカは燃料の補給に協力するとも報道されている。昨年の4月後半から5月前半の時期にNATO軍とアメリカ軍は反シリア政府軍、SFA(シリア自由軍)の訓練をトルコの米空軍インシルリク基地で始めたとする情報が正しければ、軍事介入はすでに始めているわけだが、直接的な軍事介入となると意味は違ってくる。

 外国勢力がシリアの内戦に参加していることは間違いない。中でも注目されているのがアル・カイダ系の武装グループ。この話は「西側」も否定できなくなっている。リビアで体制を転覆させた後、アル・カイダ系のLIFG(リビア・イスラム戦闘団)が兵士をシリアへ移動させ、大量の武器をNATO軍機がトルコへ運び込んでいるともいう。

 それだけでなく、イスラエルではイギリスとカタールの特殊部隊がシリア領内で活動しているという情報も伝えられている。カタールやサウジアラビアなど湾岸の独裁産油国もシリアへの軍事介入に積極的な姿勢を見せている。

 こうした中、オバマ大統領の周辺から流れてくる情報は、軍事介入に消極的だというものも目につく。グルジアのミハイル・サーカシビリ大統領に対しては、イラン攻撃への協力を求めたと言われているが、マーティ・デンプシー統合参謀本部議長はシリアの反政府軍に武器援助を時期尚早だと語りズビグネフ・ブレジンスキーはイランとの戦争に反対、アメリカがイランと戦争する意志がないことをイスラエルへ明確に伝えておく必要があると語り、イラン攻撃にも消極的な話が流れてくる。チュニジアで開かれた会議でオバマ大統領はシリアへの直接的な軍事介入に反対したとも伝えられている。イスラエルやアメリカの親イスラエル派などイラン攻撃を望む勢力としては秋の大統領選より前が勝負であり、オバマ大統領への圧力は今後、さらに強まる可能性が大きい。

 たとえオバマ大統領が直接的な軍事介入に消極的だとしても、戦争を望む勢力の力は小さくない。開戦になれば、NSAAは絶大な威力を発揮するだろうが、この法律は戦争にならなくても支配層にとって強力な武器になることは間違いない。何しろ、世界的に資本主義経済は行き詰まっている。つまり、富の集中が限界に近づいて貧困化した庶民の怒りが噴出しはじめ、OWS(ウォール街占拠運動)も起こった。EUでも、金融/投機グループの餌食になったギリシャをはじめとする何カ国かで庶民は激しく怒っている。

 そうした怒りが「反体制運動」になる前に、NSAAで徹底的に弾圧することになるかもしれない。こうした事態を予想し、アメリカの支配層は1980年代、ロナルド・レーガン政権の時代に戒厳令の準備が本格化している。このことは本ブログでも何度か指摘した。(詳しくは次に出す予定の拙著で書くつもりだ。)

 日本でも昨年8月、「有識者会議」が「秘密保全法案」に関する報告書をまとめたという。アメリカと歩調を合わせ、ファシズム化を進めていると言えるだろう。そうした意味で、橋下某、石原某、河村某は体制派の流れに乗っている。中には「反米」を売りにしている人物もいるが、これは口先だけ。むしろ中国との関係を悪化させる道具として重宝されているのではないだろうか。「右翼」と見られていたが、アメリカとは一線を画すという姿勢だった中川一郎が危険視されたのとは対照的だ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2012.03.02 11:28:46



© Rakuten Group, Inc.