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《櫻井ジャーナル》

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2012.08.19
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 リビアの混乱が続いている。新体制へ平和的に移行しつつあるかのように演出されているが、分離独立派やスンニ派の武装集団、あるいはカダフィ派などが入り乱れ、爆破事件や誘拐が横行、見通しは明るくない。リビアの資源を手に入れ、アフリカが自立するのをとりあえず阻止した「西側」の支配層にとっては問題ないのかもしれないが。

 ムアンマル・アル・カダフィ体制が崩壊した後、反政府派による宗教的、人種的な弾圧が続いた。こうした問題が解決されないまま、8月19日にはトリポリの内務省ビルと女子警察学校の近くで爆破があり、死者が出ているようだ。殺し合いは御免だと考えているリビア人は少なくないだろうが、その期待が実現する目処はたっていない。

 こうした混乱の中、7月に選挙が行われ、マフムード・ジブリールを代表とする「国民勢力連合」が39議席を獲得して第1党になった。リビアの場合、200議席のうち120議席は個人、80議席が政党に割り当てられているので、政党分の半分近くを獲得したことになる。

 ジブリールは国民評議会の元執行委員長で「リベラル派」とされているのだが、アメリカで博士号を取得した「親米派」。昨年5月にはブルッキングス研究所で講演、リビアでカダフィ体制を転覆させる動きが出てきたのは、1980年代の半ばに始まったグローバル化の中での必然だとしている。金融のグローバル化によって多国籍企業や大富豪による富の独占システムが整備され、社会も経済も破壊されてきたことは本ブログでも触れたことがある。要するに、ジブリールは「西側巨大資本」の手先ということだ。

 選挙の頃、カダフィの息子を裁く準備のためにリビアを訪れたICC(国際刑事裁判所)のスタッフ4名が4週間にわたって拘束されている。解放後、拘束されていた弁護士のメリンダ・テイラーは、リビアで公正な裁判は不可能だと語っている。それが現在のリビア。

 反カダフィ派は人種差別的な色彩も濃い。サハラ以南の出身者の大半は労働者だと言われているが、「傭兵」だとして有無を言わせずに拉致し、一部は処刑されていた。「民族浄化」とも批判されている。住民が行方不明になった村もある。国連によると反カダフィ軍は約7000人を拉致、劣悪な環境の中、不当に拘束されている。この問題は未解決のまま、現在に至っている。

 今月に入ってベンガジの軍情報部の建物が爆破され、刑務所が武装集団に襲われ、赤十字国際委員会(ICRC)のスタッフが誘拐され、ベンガジの東にあるミスラタではICRCのビルが爆破されている。地域間、宗派間の戦いというだけではない。

 最近ではカダフィのシンパによるとみられる攻撃も報告されている。例えば、新リビア軍の装備を担当することになっていたモハメド・ハディヤ・アル・フェイトウリが射殺され、元情報将校のスレイマン・ボウズリダも頭部を撃たれている。ふたりとも早い段階でカダフィ軍から反政府軍に寝返った人物だ。

 カダフィ体制を倒した主力はNATOの空軍とアル・カイダ系武装集団の地上軍。そこに分離独立派や旧王党派が加わっていた。アル・カイダ系のグループは武器と一緒にシリアへ移動、その分はリビアの安定にとってプラスかもしれないが、それだけでは混乱を終わらせることはできない。

 米英仏軍が行った空爆も問題になっている。細心の注意を払って空爆したとNATOのアナス・フォー・ラスムセンは主張しているが、実際は多くの住民が犠牲になったようだ。細心の注意を払って住民を殺害したのかもしれないが。アムネスティー・インターナショナルも空爆による犠牲を調査するように求めている





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最終更新日  2012.08.19 21:13:59



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