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《櫻井ジャーナル》

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2014.08.24
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 海南島から東へ約210キロメートルの地点で中国の殲11B(J11B)戦闘機がアメリカの哨戒機P8Aを迎撃、米国防総省は両機が約6メートルまで接近したと発表、中国側の行為は「非常に危険でプロらしくない」と批判、アメリカの大統領副補佐官は「憂慮される挑発行為だ」としているが、中国の国防省は「安全な距離を保っていた」と反論、アメリカ側が頻繁に繰り返している偵察行為を非難した。この場合、アメリカのスパイ飛行を中国が迎撃したわけで、「挑発行為」はアメリカ側に向けられるべき言葉。

 先月18日、つまりマレーシア航空17便が撃墜された翌日にアメリカのRC-135電子偵察機がロシア機に迎撃されてスウェーデン領空へ無許可で逃げ込むという出来事があった。アメリカ側は中立空域を飛行していたとしているが、ロシア側は領空を侵犯したと主張している。

 これまでアメリカは好き勝手に挑発的な偵察飛行を繰り返していたが、そうした行為を許さないという姿勢をロシアや中国は示し始めたように見える。J11BはロシアのSu-27をベースにしているが、エンジンや部品は全て中国製。パイロットの技量とともに戦闘機の性能を見せつけるという意味もあっただろう。

 中国のエリート層は子弟をアメリカへ留学させているが、そこで「強者総取り」のイデオロギーをたたき込まれ、政府の若手には親米派が多いとも言われていた。ロンドン(シティ)を中心とするオフショア市場のネットワークに資産を沈めている人も多いようで、そういう人びとはアメリカがヘゲモニーを失うことを懸念しているだろう。産業は発展したが、資本を欧米に頼っているという弱みもある。

 しかし、中国人はアヘン戦争を仕掛けたアングロ・サクソンへの恨みを忘れていないだろう。経済力で負けたイギリスが中国(清)へアヘンを強制的に買わせ、略奪を始めたわけだが、この構造は現在にも通じる。

 ちなみに、アヘン戦争の勃発は1840年、その18年後に日英修好条約が締結された。この戦争で大儲けしたジャーディン・マセソン商会を創設したひとり、ウィリアム・ジャーディンの甥にあたるウィリアム・ケズウィックが横浜で事務所を構えたのもこの年。翌年に同社のエージェントして長崎へ来たトーマス・グラバーは薩摩、長州、土佐など反徳川幕府派の後ろ盾になった。明治維新後は三菱本社の渉外関係顧問に就任している。

 この時代からイギリス、そしてアメリカが狙っていた獲物は中国であり、日本は侵略の手先として動くことになる。明治政府は1871年7月に廃藩置県を実施して中央集権化を進めるが、同年10月に難破した宮古島の漁民が台湾で殺されると、これを口実に台湾を支配しようと考えたようで、72年に琉球藩を設置した。

 1874年には軍隊を台湾へ派遣、75年には李氏朝鮮の首都を守る要衝、江華島へ軍艦が派遣して挑発、「日朝修好条規」を結ばせて清国の宗主権を否定させ、94年に朝鮮半島で甲午農民戦争(東学党の乱)が起こると、「邦人保護」を名目にして軍を派遣した。その一方で朝鮮政府の依頼で清も出兵、日清戦争が勃発、日露戦争へつながる。

 日本がアメリカの巨大資本JPモルガンの影響下に入るのは1923年。関東大震災から復興するための資金を調達するために日本政府は外債を発行するのだが、そのときに頼った相手がJPモルガンだった。

 このアメリカ資本と最も親しかった日本人が井上準之助。1920年の対中国借款交渉で関係ができたようだ。その後、JPモルガンは電力を中心に多額の資金を日本へ投入、日本の経済政策を牛耳ることになる。

 関東大震災から6年後、ウォール街では株式相場が暴落した。要するに投機のバブルがはじけたわけだが、巨大資本や富裕層を優遇する政策に反発していたアメリカの国民は1932年の大統領選挙でフランクリン・ルーズベルトを選ぶ。

 ルーズベルトは巨大企業の活動を規制し、労働者の権利を拡大するべきだと考え、ソ連とも友好的な関係を結ぼうとしていたニューディール派の中心人物。JPモルガンなど巨大資本は1933年に反ルーズベルトのクーデターを計画した。

 この計画は海兵隊のスメドリー・バトラー少将とジャーナリストのポール・フレンチが議会で証言、明るみに出ている。クーデター派が参考にしたのはフランスの「クロワ・ド・フ(火の十字軍)」で、フレンチによると、「コミュニズムから国家を守るため、ファシスト政府が必要だ」と語っていたという。

 JPモルガンの影響下にあり、今で言うところの「新自由主義」を導入した井上準之助は1932年、血盟団に暗殺された。やはりアメリカ資本と近い関係にあった三井合名の団琢磨理事長も殺されている。1936年の2・26事件もその根底には強者総取り経済への反発があったが、このクーデターは失敗に終わり、中国侵略が本格化する切っ掛けになってしまう。

 こうした歴史を考えれば、中国がイギリスやアメリカ、つまりアングロ・サクソンに好感を抱いているとは思えない。それを留学生の「洗脳」で封印できるかどうかだ。隠した資産への執着がアメリカへの従属につながる可能性もあるが、最近の動きを見ているとアメリカと中国との間に亀裂が入り始めたことは間違いないだろう。





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最終更新日  2014.08.24 19:23:25



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