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《櫻井ジャーナル》

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2015.03.09
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 IS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、IEIL、ダーイシュとも表記)を支援していた4名の外国人軍事顧問をイラクの対テロ部隊が拘束したとイランで報道されている。そのうち3名はイスラエルとアメリカの二重国籍で、もうひとりはペルシャ湾岸の出身だという。この情報の信頼度は不明だが、これまでに伝えられてきた情報から考えて、こうしたことが起こっても不思議ではない。

 少し前、イランの義勇兵組織、バスィージのモハマド・レザ・ナクディ准将はISの司令部がイラクのアメリカ大使館にあると語り、ISを実際に指揮している、あるいは生みの親はアメリカ陸軍の退役少将で心理戦の専門家であるポール・バレリーだとする情報も伝えられている。

 バレリーたちはベトナム戦争でアメリカは戦闘で負けたのではなく、事実が報道されたことで負けたと考え、報道をコントロールすることに力を入れてきた。バレリー自身、アメリカのFOXニュースに「軍事アナリスト」の肩書きで登場していたこともある。

 本ブログでは何度も書いてきたが、第2次大戦後、アメリカでは「モッキンバード」と呼ばれるメディア操作を目的としたプロジェクトが実行されている。その中心はアレン・ダレス、フランク・ウィズナー、リチャード・ヘルムズ、そしてフィリップ・グラハム。

 ダレスは兄にジョン・フォスター・ダレスと同じようにウォール街の大物弁護士で、大戦中から破壊活動を指揮、ウィズナーとヘルムズは情報機関(OSS)でダレスの部下として活動していた。ウィズナーもウォール街の弁護士で、戦後は破壊工作を目的とした極秘機関OPCの責任者を務めた。ヘルムズは後にCIA長官に就任するが、彼の祖父にあたるゲイツ・ホワイト・マクガラーは国際的な投資家で、グラハムの義理の父、ユージン・メイヤーは世界銀行の初代総裁。このふたりもウォール街との関係が深いと言える。

 グラハムはワシントン・ポスト紙の社主だったが、1963年8月、ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺される3カ月前に自殺し、妻のキャサリン・グラハムが引き継ぐ。言うまでもなく、キャサリンはユージン・メイヤーの娘。ウォーターゲート事件でリチャード・ニクソン大統領を失脚させた当時、ワシントン・ポスト紙の社主を務めていたことでも知られている。

 キャサリンに目をかけられていたベンジャミン・ブラッドリーの妻は、ケネディ大統領の愛人だったと言われているマリー・ピンチョットの姉妹。マリーは大統領がダラスで暗殺された約1年後に殺されている。死後、彼女の日記はCIAの対情報工作部長でダレスの側近だったジェームズ・ジーザス・アングルトンが持ち去った。アングルトンは戦争前からファシストと緊密な関係にあり、1960年代にはワシントンDCで反コミュニスト・トリオのひとりに数えられていた。残りのふたりはヘンリー・キッシンジャーの師匠にあたるフリッツ・クレーマーと労働組合に君臨していたジェイ・ラブストーン。

 キャサリンの下、ワシントン・ポスト紙の記者としてウォーターゲート事件を明るみに出したことで有名なカール・バーンスタインは1977年に同紙を退社し、ローリング・ストーン誌で「CIAとメディア」という記事を書いた。その冒頭、400名以上のジャーナリストがCIAのために働いているとしている。(Carl Bernstein, “CIA and the Media,” Rolling Stone, October 20, 1977)

 このように、アメリカの支配層はメディア支配に力を入れていたのだが、バレリーは不十分だと考えていたわけだ。1970年代の半ばに議会が情報機関の違法活動を調査、その一端を明るみに出したが、こうしたことが再発しないような方策が打ち出されたこともあり、メディアの粛清は進む。「規制緩和」で巨大資本のメディア支配も進んだこともプロパガンダ機関化を徹底させることになった。アメリカの有力メディアに「報道の自由」を期待するのは無い物ねだりだ。

 こうした体質のメディアが中東、北アフリカ、ウクライナなどで偽情報を流して好戦的な雰囲気を高めてきたことは必然だが、ここにきてドイツでは風向きが変わってきた。あれだけアメリカのプロパガンダを展開してきたシュピーゲル誌も好戦派、フィリップ・ブリードラブ欧州連合軍最高司令官やアメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補らを批判する記事を掲載するようになったのだ。

 ロシアとの核戦争へと突き進む好戦派を懸念する人はアメリカ軍の中にも広がっているようで、1997年から2000年にかけて欧州連合軍最高司令官を務めたウェズリー・クラークはCNNの番組でアメリカの友好国と同盟国がISを作り上げたと語って好戦派と「テロリスト」の関係を口にし、アメリカの傀儡と言われているドイツのアンゲラ・メルケル首相でさえ好戦派にブレーキをかけようとしている。

 そうした中、アメリカの好戦派に従い、自分たちも暴走しているのが日本の政府やマスコミ。「リベラル派」や「革新勢力」も同調してきた。来日したメルケル首相もそうした状況を懸念しているだろう。何しろ、人類の運命がかかっている。





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最終更新日  2015.03.10 14:17:35



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