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《櫻井ジャーナル》

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2016.04.15
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 ロシアのバルチック艦隊が母港にしているカリーニングラードから70キロメートルの地点までアメリカ軍のイージス駆逐艦ドナルド・クックが接近、それに対して非武装のロシア軍機が米艦船の近くを飛行した。珍しい話ではないが、アメリカ側は挑発だと非難している。

 カリーニングラードの周辺でアメリカ軍は軍事力を強化、5月にはジョージア(グルジア)やイギリスの部隊を引き連れて軍事演習「ノーブル・パートナー2016」を実施する予定だ。これはロシア軍との戦争を想定したものだろう。アメリカ軍はこの地域における軍事的な緊張を高めている。

 そうした状況を作り出し、イージス艦をロシアの重要な軍港に近づける意味をアメリカの軍人でも理解はできるはずだ。そうした動きの中心にいる在欧米軍司令官はNATO欧州連合軍最高司令官でもあるフィリップ・ブリードラブ米空軍大将で、ネオコン/シオニストと強く結びつき、軍事的な緊張を高める偽情報を発信してきた。

 2014年2月22日にネオコンなどアメリカ支配層の好戦派はウクライナでクーデターを成功させた。ネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)を使い、選挙で合法的に選ばれたビクトル・ヤヌコビッチ大統領を暴力的に排除したのだ。

 ヤヌコニッチの支持基盤であったウクライナの東部や南部に住む人びとはクーデターを拒否、クーデター軍は部隊を送り込んでロシア語系住民を排除する「民族浄化」作戦を始めた。この破壊と殺戮を西側では政府やメディアだけでなく、「リベラル派」や「革新勢力」を自称している人びとも支持していた。日頃「護憲」を叫んでいるグループの中に憲法の規定を無視したクーデターを受け入れる人がいたのには驚いた。

 クーデターを拒否する動きが最も早かったのはクリミアで、3月16日にはロシアの構成主体としてロシアに加盟するかどうかを問う住民投票が実施され、80%以上の住民が参加、投票総数の95%以上が賛成している。「民意」は明確に示されたわけだ。

 この間、ロシア軍は動いていないのだが、西側ではロシア軍が侵攻したと大々的に宣伝され、その中には「リベラル派」や「革新勢力」も含まれていた。1997年にウクライナとロシアが結んだ協定でロシア軍は2万5000名を駐留させることが認められ、実際には1万6000名が駐留していたのだが、その部隊を西側は「侵略軍」だと主張したのだ。ロシア軍はクリミアの基地を20年にわたって使用する権利があり、25年間の延長も認められていた。

 2014年11月12日にはブリードラブが、ロシア軍兵士と戦車のウクライナ侵攻を主張しているが、これも嘘だった。「ロシアの軍隊、ロシアの戦車、ロシアの大砲や、防空システムが、ウクライナに運びこまれるのを見た」はずはない。幻覚を見ていたのかもしれないが、嘘であろうと幻覚であろうと、NATO欧州連合軍最高司令官の発言は人類の存続に関わる大問題だ。

 昨年3月6日付けのシュピーゲル誌によると、ドイツ首相府の高官はブリードラブのコメントを「危険なプロパガンダ」だと非難したというが、「同盟国」からもそう言われるほど、この人物は危険な存在だということである。当然、西側のメディアもそうしたことを熟知しているはずだが、それでも人類を死滅させかねないブリードラブやその仲間の手先になっているのが実態だ。

 ウクライナでヤヌコビッチ大統領が排除される前、2月4日にインターネット上では、ビクトリア・ヌランド国務次官補がジェオフリー・パイアット米大使とウクライナの「次期閣僚人事」について話し合っている音声が公開された

 その中でヌランドは「EUなんかくそくらえ(F*ck the EU)」という言葉を口にしたのだが、それは話し合いで問題を解決しようとするEUへの不満から出たものだった。ヌランドは暴力的に傀儡政権を樹立しようとしていたのだ。この発言を「下品」で片付けようとするのは犯罪的だ。

 少なからぬEUの「エリート」はアメリカ支配層に買収されているという。政府高官だけでなく、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の編集者だったウド・ウルフコテによると、ドイツだけでなく多くの国のジャーナリストはCIAに買収されている。

 ウォーターゲート事件を追及したことで有名なカール・バーンスタインは1977年、ワシントン・ポスト紙を辞めた直後にローリング・ストーン誌で「CIAとメディア」という記事を書き、400名以上のジャーナリストがCIAのために働き、1950年から66年にかけて、ニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供していることを明らかにした。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)

 基本的に状況は変化していないようだが、メディアに対する支配はバーンスタインの記事が出た後から急速に強まっている。ユーゴスラビアにしろ、アフガニスタンにしろ、イラクにしろ、リビアにしろ、シリアにしろ、ウクライナにしろ、ロシアにしろ、中国にしろ、西側メディアの「報道」は嘘のオンパレードだ。

 ウルフコテはドイツやアメリカのメディアがヨーロッパの人びとをロシアとの戦争へと導き、引き返すことのできない地点にさしかかっていることに危機感を抱いたというが、ドイツを含むEUのエリート層でアメリカの嘘が危険だと考える人が増え始めたように見える。そうした中、引き起こされたのが「テロ」と難民問題である。

 昨年1月7日、「風刺画」の雑誌を出しているフランスのシャルリー・エブドの編集部が襲われて11名がビルの中、また1名が外で殺され、11月13日にはパリの施設が襲撃されて約130名が殺され、数百人が負傷したという。いずれも不可解な点があることは本ブログでも指摘してきた。シリアから逃げ出したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)の戦闘員は多くがリビアへ入り、拠点を作りつつあるようだが、この動きはEUを睨んでのことだという見方もある。

 昨年9月にはトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン政権は難民をEUへ向かわせて「難民問題」を引き起こし、EUを揺さぶり始めた。ネオコンなどアメリカの好戦派、サウジアラビアなどペルシャ湾岸産油国、サウジアラビアの影響下にあるトルコ、そしてイスラエルなどはロシア制圧を諦めていないと見られている。そのプランに反対する勢力が攻撃されるのは必然だろう。ドイツ政府はトルコ政府に屈服、エルドアン大統領を批判したドイツのコメディアンに対する捜査を承認したという。

 ところで、軍事的な緊張を高めるためなら嘘を平然とつき、ロシアを挑発してきたブリードラブは今年、NATO欧州連合軍最高司令官を辞める。後任のカーティス・スカパロティ大将は駐韓米軍司令官だ。





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最終更新日  2016.04.15 23:00:49



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