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《櫻井ジャーナル》

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2016.04.16
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 もし日本の憲法に「緊急事態条項」があったとしても、熊本で発生した地震のような災害で被災者を救済する助けにはならない。安倍晋三政権としては、この条項がすでにあれば今回の地震で一気に日本をファシズム化できたと、ほぞをかんでいることだろう。近代的な農奴制、あるいはカースト制を目指しているようにも見える。

 この条項は1980年代、ロナルド・レーガン政権で導入されている。本ブログでは何度も触れてきたが、1982年にレーガン大統領はNSDD55を出し、憲法の機能を停止させる目的でCOGプロジェクトをスタートさせたのだ。

 このプロジェクトのベースはソ連に対する先制核攻撃が計画されていたドワイト・アイゼンハワー時代に作られた。核戦争で正規の政府が機能しなくなったときに「秘密政府」を設置することが決められたのである。1979年にはFEMAが作られ、それを発展させたものがCOGだ。

 アイゼンハワー時代の計画では核戦争が前提になっているが、1988年に出された大統領令12656によって、憲法は「国家安全保障上の緊急事態」の際に機能を停止できることになった。2001年9月11日の出来事をジョージ・W・ブッシュ政権は「国家安全保障上の緊急事態」だと判断、「愛国者法」によってアメリカ憲法の機能を停止させたわけだ。安倍政権が主張する「緊急事態条項」のルーツはおそらく、これだろう。つまり猿まね。

 アメリカでこうしたプロジェクトが進行していることは1980年代の半ばになると外部に漏れ始める。例えばマイアミ・ヘラルド紙などメディアが取り上げ、1987年7月に開かれた「イラン・コントラ事件」の公聴会ではジャック・ブルックス下院議員がオリバー・ノース中佐に対して「大災害時に政府を継続させる計画」に関係したのではないかと質問している。この段階で日本のマスコミもアメリカで戒厳令、あるいはクーデターが準備されていることを知っていなければならない。

 ブルックス議員の質問の重要性は委員長のダニエル・イノウエ上院議員が質問を遮り、「高度の秘密性」を理由にして強制的に終わらせたことでも明らか。1991年には日本のテレビ局とも提携していたCNNがこの問題を取り上げたが、日本では無視されるか否定的な伝え方をされていた。日頃、アメリカの有力メディアが伝える情報を垂れ流している日本のマスコミだが、日米支配層にとって都合の悪い情報は知らん振りだ。

 熊本の地震に絡んで安倍政権は「緊急事態条項」の導入を口にしているようだが、その目的は民主主義の完全な否定である。かつて日本では反体制派を殲滅するために「大逆事件」がでっち上げられ、その直後の1911年に警視庁は特別高等課を設置、特別高等警察(特高)の歴史が始まっている。

 1925年に治安維持法が制定されたが、この法律が作られた背景には1923年の関東大震災がある。地震の直後から「社会主義者や朝鮮人の放火が多い」といった話がまことしやかに伝えられ、警察や軍隊の通信網で全国に広がった。この流言蜚語を信じた人々は各地で自警団を組織して数千人とも言われる朝鮮人や中国人を虐殺、東京の亀戸では警察署に連行された労働運動の活動家が殺されている。アナキストの大杉栄が妻の伊藤野枝や甥でまだ7歳だった橘宗一とともに殺害されたのもこの時だ。

 関東大震災は日本がアメリカの巨大金融資本、JPモルガンの強い影響下に入る切っ掛けでもあった。復興資金の調達をこの銀行に頼ったのだ。1929年に浜口雄幸内閣の大蔵大臣に就任した井上準之助は当時、日本で最もJPモルガンに近い人物だと言われていた。

 1932年にアメリカで実施された大統領選挙でウォール街が支援していたハーバート・フーバー大統領の再選をニューディール派のフランクリン・ルーズベルトが破った後、JPモルガンを含むウォール街の大物たちは反ルーズベルト/親ファシズムのクーデターを目論んでいる。アメリカの巨大資本はファシズムを望んでいたわけだ。これはアメリカ海兵隊の伝説的な軍人、スメドリー・バトラー少将の議会証言などで明らかにされ、記録に残されている。

 フーバー政権が1932年に駐日大使として送り込んできたジョセフ・グルーはJPモルガンと深い関係にある。グルー本人も富豪の息子だが、彼のいとこにあたるジェーン・グルーはジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア、つまりモルガン財閥総帥の妻だったのである。真珠湾攻撃後もしばらく日本に滞在、戦後はジャパン・ロビーの中心メンバーとして日本の戦前回帰を推進した。

 JPモルガンの影響下に入った後、日本は1927年に山東へ派兵、28年には関東軍が張作霖を爆殺し、31年には柳条湖で関東軍が南満州鉄道を爆破、中国東北部を制圧した。いわゆる「満州事変」の勃発だ。1932年の大統領選挙でアメリカの状況は大きく変化するが、日本は変化に対応できないまま中国侵略を続ける。そして1937年の「盧溝橋事件」を切っ掛けにして戦争は拡大していった。

 安倍政権はアメリカの好戦派が1980年代に始めたことを真似し、第2次世界大戦の前と同じような日米従属関係を築こうとしている。次の関東大震災を彼らは考えているだろうが、そうした時期の明確でない出来事を待ちたくはないはずで、東京オリンピックは日本でファシズム化を促進する口実に使われるだろう。






最終更新日  2016.04.16 22:26:43



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