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《櫻井ジャーナル》

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2017.06.10
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アメリカの特殊部隊がクルド軍とラッカへ入ったという。2016年9月、バラク・オバマ政権は特殊部隊をシリア北部にある7つの基地へ派遣したと伝えられたが、その延長線上にある作戦だろう。

今年に入って第11海兵遠征部隊がシリアで戦闘態勢を整えたと報道されたが、これについてロン・ポール元下院議員(1997年〜2013年)は、ラッカをシリア政府軍より先にアメリカ軍が制圧することが目的だと推測していたが、その通りの展開になった。

ラッカにダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を終結させていたのはアメリカ軍だった可能性が高い。今年3月、アメリカ軍はヘリコプターを使い、イラクのモスルやシリアのデリゾールからダーイッシュの指揮官たちを救出、その後にダーイッシュはラッカに集結していたのだ。アメリカ軍部隊が到着する前にシリア政府軍が制圧しないようにすることが目的だったとも考えられる。

アメリカ軍とクルド軍はラッカの制圧作戦を進める際、ラッカからデリゾールへ向かうダーイッシュの戦闘員を攻撃していない。つまり、アメリカ側はダーイッシュを新たな任務のために送り出したということだ。

その一方、アメリカ軍とイギリス軍はシリア南部へ侵攻、そうした動きに対応して出てきたシリア政府軍をアメリカ主導軍の戦闘機が爆撃している。5月18日にアメリカ主導軍の航空機がヨルダン領内からシリア領空へ侵入、シリア南部のアル・タンフ近くで政府軍を攻撃、T-62戦車2輌を破壊、6名の兵士を殺害、何人かを負傷させたが、6月6日にも同じようにシリア政府側の部隊を空爆している。アル・タンフにある基地ではアメリカとイギリスの特殊部隊が反シリア政府軍を訓練、その部隊もデリゾール攻撃に使う計画だと見られている。

アメリカは昨年9月17日にもシリア政府軍を空爆している。デリゾールでシリア政府軍をアメリカ主導の連合軍がF-16戦闘機2機とA-10対地攻撃機2機で攻撃、80名以上の政府軍兵士を殺害したのだ。空爆の7分後にダーイッシュの部隊が地上でシリア政府軍に対する攻撃を開始していることから、両者は連携していると見られている。28日には2つの橋を、30日にも別の橋2つをそれぞれ爆撃して破壊した。アメリカ軍の偵察衛星のつかんだ情報が反政府軍へ渡されていた可能性が高いとする分析もある。

シリアのバシャール・アル・アサド政権を武力で倒すことが難しくなり、シリアとイランを分断していた「サラフィ主義者の支配国」が崩壊、それに替わってクルドが支配する「クルディスタン」を作り上げることにしたように見える。その副作用がトルコの離反。サウジアラビアはトルコとの関係が強いカタールを属国化しようとしたが、目論見通りには進んでいないようだ。



こうした対立は手先として戦ってきたサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心に編成された戦闘集団を分裂させることになり、アメリカは戦闘集団の再編成を強いられている。

戦闘の長期化は中東を制圧するプランを変更させたが、それだけでなくサウジアラビアの財政赤字を深刻化させた。サウジアラビアはアメリカにとって石油取引のパートナーであると同時に、ドルを循環させる重要なポンプでもある。サウジアラビアを切り捨てるわけにはいかないだろう。

これまでアメリカを支配してきたネオコンは「脅せば屈する」というチンピラ的な手段を使ってきた。狂犬、凶人戦略だが、今、アメリカの前にはそうした脅しでは屈しないロシアや中国がいる。ネオコンに担がれたヒラリー・クリントンは民主党の大統領候補選びで不適切な手段を使ってバーニー・サンダースを退けたが、共和党のドナルド・トランプに負けてしまった。が、トランプはネオコンの逆襲で厳しい状況に陥っている。

狂犬、凶人戦略に執着するネオコンはNATOの部隊をロシアとの国境に近づけてミサイルを配備、東アジアでは韓国にTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムを配備、日本では地上配備型イージスシステムのイージス・アショアを導入するようだ。韓国政府は抵抗しているようだが、屈するまで朝鮮はミサイルを発射し続けるかもしれない。

サウジアラビア国王が東アジアを歴訪した後、フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシアでダーイッシュの活動が激しくなったが、これは東アジアを中東のようにするというアメリカやサウジアラビアの意思の表れかもしれない。

核戦争で脅せばロシアも中国も屈するとネオコンやその追随者は信じているのか、今でもアメリカは圧勝できると思い込んでいるのかはわからないが、危険な状態になっていることは間違いない。





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最終更新日  2017.06.10 16:52:24



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