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《櫻井ジャーナル》

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2018.04.15
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 OPCW(化学兵器禁止機関)のチームが東グータへ入る直前、4月14日未明にアメリカ、イギリス、フランスの3カ国はシリアを巡航ミサイルで攻撃した。このチームが東グータへ入ることを拒否されたとアメリカ政府は弁明しているが、ロシア政府はそれを否定している。OPCWの調査を求めていたのはシリアやロシアであり、チームが現地へ入ることを拒否されたとする情報はない。

 ​アメリカ国防総省の発表によると​、攻撃のターゲットはバルザー化学兵器研究開発センター(76機)、ヒム・シンシャー化学兵器貯蔵施設(22機)、ヒム・シンシャー化学兵器(7機)。ミサイルは合計105機で、すべてが命中したとしている。

 しかし、シリアの化学兵器はOPCWが立ち会って廃棄済み。シリア側の説明によると、破壊されたのは抗癌剤の製造工場だという。

 ロシア国防省によると、攻撃されたのはダマスカス国際空港(4機。全て撃墜)、アル・ドゥマイル軍用空港(12機。全て撃墜)、バリー軍用空港(18機。全て撃墜)、サヤラト軍用空港(12機。全て撃墜)、メゼー軍用空港(9機。うち5機を撃墜)、ホムス軍用空港(16機。うち13機を撃墜)、バザーやジャラマニの地域(30機。うち7機を撃墜)。そのほかターゲット不明の2機があるようだ。

 軍事施設には短距離防空システムのパーンツィリ-S1が配備されていると言われ、その能力はすでに確認済みだが、バシャール・アル・アサド大統領はソ連が1970年代に製造された防衛システムを賞賛している。S-200かS-300を指しているのだろう。

 化学兵器の使用を口実にしてシリアをアメリカ軍が直接攻撃するというプランが表面化したのは2012年8月のこと。バラク・オバマ大統領はNATO軍/アメリカ軍による直接的な軍事介入の「レッド・ライン」は生物化学兵器の使用だと宣言したのだ。

 同じ月に、アメリカ軍の情報機関​DIAはシリア情勢に関する報告書をホワイトハウスに提出​、その中でバラク・オバマ政権に対して反シリア政府軍の主力はサラフィ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団だと指摘、バラク・オバマ政権が宣伝していた「穏健派」は存在しないと書いている。

 さらに、東部シリア(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配国が作られる可能性があるともDIAは警告していた。つまり、ダーイッシュの出現を見通していたのだ。本ブログでは何度も書いてきたが、この報告書が作成された当時のDIA局長がマイケル・フリン中将。ドナルド・トランプ政権の最初の国家安全保障補佐官だ。

 この年の12月になると、自暴自棄になったシリアのバシャール・アル・アサド大統領が化学兵器を使う可能性があると国務長官だったヒラリー・クリントンは主張する。翌年の1月には、アメリカ政府がシリアでの化学兵器の使用を許可、その責任をシリア政府へ押しつけてアサド体制を転覆させるというプランの存在をイギリスのデイリー・メール紙が伝えている。

 そして2013年3月、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)がラッカを制圧した頃にアレッポで化学兵器が使われ、西側はシリア政府を非難したが、この化学兵器話に対する疑問はすぐに噴出する。

 例えば、イスラエルの​ハーレツ紙​は攻撃されたのがシリア政府軍の検問所だと指摘、死亡したのはシリア軍の兵士だということから反政府軍が使ったと推測している。5月には国連独立調査委員会メンバー国連の調査官だった​カーラ・デル・ポンテ​が化学兵器を使用したのは反政府軍だと語っている。

この年には8月にも化学兵器が使用され、アメリカは9月上旬に攻撃すると見られていたが、地中海から発射されたミサイルが海中に墜落、軍事侵攻はなかった。その件も、シリア政府が化学兵器を使用したことを否定する報道、分析が相次いだ。

 昨年(2017年)4月にも化学兵器話が持ち上がった。4日に政府軍が化学兵器を使ったというのだが、コントラの麻薬取引を明るみに出したことで有名なジャーナリストの​ロバート・パリー​によると、4月6日にマイク・ポンペオCIA長官は分析部門の評価に基づき、致死性の毒ガスが環境中に放出された事件にバシャール・アル・アサド大統領は責任がなさそうだとトランプ大統領に説明していたと彼の情報源は語ったという。6月25日にはソンミ事件を明らかにしたことで有名なジャーナリストの​シーモア・ハーシュ​もパリーと同じ内容の話を記事にしている。

 そして今回の化学兵器話とアメリカ、イギリス、フランスによるシリア攻撃。これはオバマ政権の時代に作られた軍事侵略のシナリオであり、イスラエルやサウジアラビアから実行を強く求められていた。






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最終更新日  2018.04.15 21:33:44



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