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《櫻井ジャーナル》

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2019.12.09
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 ロシアのエネルギー会社ガスプロムは天然ガスをヤクーツクから沿海地域のウラジオストックへ運ぶパイプラインを建設しているが、そのうち​中国への分岐点であるブラゴベシチェンスクまでが完成​、中国への天然ガス供給が始まったようだ。

 経済発展に比例して中国の天然ガス需要は増え、その輸入量は近い将来に日本を上回ると見られているが、そうした需要の増加があってもロシアからの供給システムが整備されれば、アメリカに依存する必要はない。

 ロシアとしても中国という巨大市場を獲得できればヨーロッパに気兼ねする必要がなくなり、ヨーロッパはロシアとの関係を悪化させればアメリカに対する従属度が高くなる。ドイツがアメリカの圧力をはねのけてパイプラインの北方ルートであるノードストリーム2の建設を進めている理由はそこにあるのだろう。ロシアの制圧を長期戦略として持つアングロ・サクソン系支配層はロシアの再属国化を目指して軍事的な圧力を強めているが、そのロシアは脅しに屈しない。

 本ブログでも繰り返し書いてきたが、すでにアメリカ支配層は核戦争で脅しているが、それでもロシアは屈しない。中国も同じだろう。些細な刺激で全面核戦争が勃発する危険性が高まっているのだが、そうなった場合、ヨーロッパは消滅する。日本も同じだ。アメリカは生き残るつもりらしいが、それは無理だろう。EUの内部でアメリカに対する不信感が高まっても不思議ではない。

 そのヨーロッパにはNATO(北大西洋条約機構)という軍事組織が存在する。創設の目的はソ連の軍事侵攻に備えることにあるとされたが、当時のソ連には西ヨーロッパへ攻め込む能力はなかった。何しろドイツとの戦闘でソ連の国民は2000万人以上が殺され、工業地帯の3分の2が破壊されていたのだ。創設には別の目的があった。

 NATOが創設される前、破壊活動を目的とする秘密部隊がすでに存在していた。その源は第2次世界大戦の終盤、ナチスと戦っていたレジスタンに対抗するために設立されたジェドバラだ。

 その秘密部隊は1948年当時、西側連合秘密委員会(CCWUまたはWUCC)に統括されていたが、NATOが作られるとその中へ入り込む。1951年からはCPC(秘密計画委員会)の下で活動することになった。1957年にはSACEUR(欧州連合軍最高司令官)の命令でCPCの下にACC(連合軍秘密委員会)が創設され、秘密部隊を指揮するようになった。

 NATOの全加盟国に秘密部隊は設置されたが、名称は別。中でも有名な部隊は1960年代から80年代にかけてテロ活動を繰り返したイタリアのグラディオだろうが、1961年に創設されたフランスのOAS(秘密軍事機構)もそのシステムに組み込まれていたと言われている。

 OASはその年の4月にスペインのマドリッドで秘密会議を開き、CIAの代表を交えてアルジェリアでのクーデター計画について討議している。アルジェリアの主要都市を支配し、パリを制圧するという計画で、それにはフランス軍の将軍4名が参加していた。

 そうした動きを知ったアメリカのジョン・F・ケネディ大統領はジェームズ・ガビン駐仏アメリカ大使に対し、必要なあらゆる支援をする用意があるとド・ゴールへ伝えるように命じている。結局、クーデターは4日間で崩壊してしまう。

 1962年1月にOASの幹部は逮捕され、5カ月後にOASは休戦を宣言する。クーデターを阻止したド・ゴールはフランスの情報機関であるSDECEの長官を解任し、その機関の暗殺部隊と化していた第11ショック・パラシュート大隊を解散させた。

 しかし、ジャン-マリー・バスチャン-チリー大佐に率いられたOASの一部は納得せず、8月にパリでド・ゴール大統領の暗殺を試み、失敗している。暗殺計画に加わった人間は9月にパリで逮捕された。一方、フランスでのクーデターを阻止したケネディ大統領は1963年11月22日に暗殺されている。

 その3年後の1966年にフランス軍はNATOの軍事機構から離脱、翌年にはSHAPE(欧州連合軍最高司令部)をパリから追い出す。そのSHAPEはベルギーのモンス近郊へ移動した。ド・ゴールはNATOがヨーロッパをアメリカが支配する仕組みだと見抜いていたのだろう。

 そのNATOがここにきて揺らいでいる。アメリカとEUの利害対立が強まっていることに加え、アメリカ支配層の内部で抗争が激しくなっているからだろう。​そうした不協和音を示すとみられる映像​も流されている。






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最終更新日  2019.12.09 08:40:04



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