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《櫻井ジャーナル》

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2019.12.23
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 ​シリア議会はロシアの2企業と9月に結ばれた石油開発に関する契約を承認​した。その2企業とはマーキュリー社とベラダ社で、開発されるのは北東シリアの油田地帯とダマスカスの北にある天然ガス田を含む3地区だと伝えられている。

 アメリカの国防総省は自国軍がシリアを占領し続ける理由としてダーイッシュ(イスラム国、IS、ISIS、ISILとも表記)から油田を守るためだと11月7日の記者会見で主張した。つまりシリア北東部の石油を盗み続けるという宣言だ。中東に限らず、ラテン・アメリカ、アフリカ、東南アジアなどで資源を奪ってきた欧米支配層にとって、略奪は自然な行為なのだろう。

 ジョージ・W・ブッシュ政権が2003年3月にイラクを先制攻撃したのはネオコンの中東戦略に基づいている。本ブログでは繰り返し書いてきたが、親イスラエルの好戦派であるネオコンは1980年代からサダム・フセイン体制の打倒を主張していた。イラクに親イスラエル体制を樹立、シリアとイラクを分断した上で両国を潰し、中東全域を支配するというプランだ。

 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、ネオコンの中心グループに所属するポール・ウォルフォウィッツは1991年の段階でイラク、シリア、イランを殲滅すると語っている。(​3月​、​10月​)

 その年の12月にソ連が消滅、翌年の2月に国防総省のDPG草案として世界制覇プランを作成した。その当時の国防長官はリチャード・チェイニーで、作成の中心は国防次官だったウォルフォウィッツ。そこでウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。

 このドクトリンをベースにして、ネオコンのシンクタンクであるPNAC(新しいアメリカの世紀プロジェクト)が「アメリカ国防の再構築」という報告書を作成、2000年に発表した。

 この年の選挙で大統領に選ばれたジョージ・W・ブッシュはPNACの報告書に基づく政策を推進、2001年9月11日の攻撃を利用してイラクを先制攻撃し、フセイン体制を潰す。

 2011年春にはバラク・オバマ政権がムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を使い、リビアに続いてシリアを軍事攻撃、殺戮と破壊を繰り広げ、石油を盗み始める。

 シリアより1カ月程前に侵略を始めたリビアでは2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制が崩壊、カダフィ自身は惨殺された。リビアではNATO軍が空爆、地上のアル・カイダ系武装勢力と連携していた。

 2011年9月11日以降、アメリカの支配層は「アル・カイダ」を「テロの象徴」として利用、その象徴として「オサマ・ビン・ラディン」を使っていた。オバマ政権はそのオサマ・ビン・ラディンを2011年5月に殺害したと発表、とりあえず「テロの象徴」を消し去っていた。

 カダフィ体制を破壊した後、戦闘員と武器/兵器をアメリカはシリアへ運び込んで、バシャール・アル・アサド政権の破壊に集中しようとする。リビアと同じようにアメリカはNATO軍を使おうとするが、ロシア政府が立ち塞がる。侵略は認めないということだ。西側の政府や有力メディアが嘘だと発覚しても執拗に「化学兵器話」を宣伝するのは、軍事侵略の口実を作りたいからにほかならない。

 NATOと「アル・カイダ」との関係が広く知られた後、新たなタグが現れる。ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)だ。アメリカ軍の情報機関DIAがオバマ大統領に対してアメリカ政府の政策がサラフィ主義者を助け、彼らの占領地域を生み出すことになると警告していた2012年、CIAやアメリカの特殊部隊はヨルダン北部に設置された秘密基地で戦闘員の訓練を始めている。

 当時の戦闘員は100名程度だったと言われているが、売り出された2014年に入る頃には数十万人へ膨れ上がっていた。サダム・フセイン政権時代に軍の将校だった人びとが親イランの新体制に対する報復としてアメリカと手を組んだと見られている。トルコなどからも戦闘部隊に合流している。

 この戦闘集団はイラクからシリアにかけての占領地域で石油を盗掘、トルコのBMZという会社を経由してARAMCO(サウジアラビアの国有石油会社)がEUへ売っていたとする説が流れている。BMZはレジェップ・タイイップ・エルドアンの息子、ビラル・エルドアンが大株主のひとりだ。アル・カイダ系のアル・ヌスラはエクソン・モービルがEUへ販売していたという。

 シリア政府からの要請を受けたロシア政府は2015年9月末から軍事介入、ダーイッシュは敗走してその支配地域は急速に縮小、16年にはトルコがアメリカの侵略連合から離脱してロシアへ接近する。

 アメリカは新たな手先にクルドを選び、そのクルドはダーイッシュを引き継ぐ形でシリア北部を占領。レバノンのアル・アクバル紙によると、クルド勢力は石油をイスラエルの実業家モティ・カハナに売っているという。

 イスラエルへの石油密輸を進めているのはロビー団体だと言われているが、中心的な役割を果たしているのはトルコ駐在アメリカ大使のデイビッド・サッターフィールドだとも主張されている。

 この人物は国務省に埋め込まれたイスラエル情報機関の協力者だとも言われ、2005年にイスラエルによるアメリカ国防総省に対するスパイ事件が浮上した際、その名前も出てきた。






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最終更新日  2019.12.23 15:40:38



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