27544339 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

《櫻井ジャーナル》

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

バックナンバー

2020.01.11
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類

 ウクライナ国際航空752便の墜落では、2014年7月17日にウクライナの上空で撃墜されたマレーシア航空17便(MH17)との類似性を指摘する声も聞く。この旅客機はアムステルダムからクアラルンプールへ向かう途中だった。

 現在でもブーク・ミサイル・システムで撃ち落とされたという説を唱える人はいるが、撃墜されて間もない2014年7月23日に現地入りしたBBCの取材チームはそうしたことを示す証拠や証言がないことを確認している。ウクライナの制圧を目論んでいた勢力にとって都合の悪い情報だ。その映像をBBCはすぐに削除したが、コピーがインターネット上を流れた。

 その映像に登場する住民によると、旅客機の近くを戦闘機が飛んでいた。キエフ軍の航空機が民間機の影に隠れながら爆撃しているという話も映像に記録されている。現場の周辺では防腐剤のような臭いがしていたともいう。

 また、旅客機の残骸を調査したOSCE(欧州安全保障協力機構)の調査官も榴散弾ではなく左右から銃撃された可能性が高いと話している。コックピットの下の部分にいくつもの弾痕があるのだが、入射穴と出射穴があり、榴散弾ではなく左右から銃撃された可能性が高いというのだ。今回の752便墜落の宣伝ではこの指摘がシナリオに取り入れられている。

 ロシア国防省はMH17と同じコースを同じ高度でSu-25が飛行していたと説明していた。戦闘機と旅客機との距離は3から5キロメートルだったという。Su-25を実際に操縦した経験のある人びとによると、1万2000メートルから1万4000メートルの高度までは到達でき、MH17を撃墜することは可能だ。MH17とほぼ同じルートを40分弱の差でウラジミール・プーチン露大統領を乗せた航空機が飛行する予定だったとする未確認情報も流れていた。

 この撃墜を調査するとしてオランダが主導するJIT(合同調査チーム)が編成された。そのほかベルギー、オーストラリア、ウクライナ(クーデター政権)、そしてマレーシアが含まれている。EUの拠点であるベルギー、アメリカの属国であるオーストラリア、撃墜の実行犯と疑われているウクライナ、そして旅客機が所属するマレーシアだ。

 しかし、マレーシアのマハティール・ビン・モハマド首相によると、JITの主張を裏づける証拠がない。同国の調査官はMH17のフライト・レコーダーを調査することを拒否されたという。そうしたこともあり、​マハティール首相はJITの結論に納得していない​という。同首相もウクライナのクーデター派が実行した可能性を指摘している。JITはロシア人3名とウクライナ人ひとりの合計4名の国際逮捕状を発行するというが、オランダの主任検察官はこの4名が撃墜に関与したことを示す証拠はないとしている。

 MH17が撃墜されたのはバラク・オバマ政権がネオ・ナチのグループを使い、ウクライナでビクトル・ヤヌコビッチ大統領を追放することに成功してから2カ月後の出来事だった。

 クーデターの主な目的はEUとロシアとの関係を絶つことにあったが、ロシアの重要な軍事基地があるクリミアの制圧も目指していたはずだ。

 ところが、クーデターの実態を知ったクリミアの住民は3月16日の住民投票でウクライナからの離脱とロシアとの統合を求める意思を示した。投票には80%以上の住民が参加、95%以上が加盟に賛成したのだ。

 ヤヌコビッチの支持基盤でロシア語を話す住民が多い東部や南部でもクリミアに続く動きが現れるのだが、そうした中、4月12日にジョン・ブレナンCIA長官がキエフを極秘訪問、その2日後にクーデター政権の大統領代行がウクライナ全域の制圧作戦を承認している。

 4月22日にはジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪問、それにタイミングを合わせるようにしてオデッサでの工作に関する話し合いがあったと伝えられている。現場では国務次官補だったビクトリア・ヌランドが主導的な役割を果たしていたが、クーデターの責任者はバイデンだったする指摘もある。

 そうした地域の中にオデッサという港湾都市がある。ここも戦略的に重要な場所だ。その年でも住民はクーデターに反対する行動を起こすが、5月2日にキエフのクーデター政権はネオ・ナチのグループを使ってそうした住民を虐殺した。これは本ブログで繰り返し書いてきた通りだ。そしてドンバスで戦闘が始まった。ウクライナのクーデターに反対する軍人や治安部隊員が合流しているので戦闘能力は高いと言われている。

 オバマ政権はキエフでのクーデターに成功したものの、南部や東部では計画通りに進まなかった。ドンバスでは戦闘が泥沼化、むしろキエフの送り込んだ部隊は厳しい状況に陥る。そして7月17日のMH17撃墜だ。

 イランのイスラム革命防衛隊の幹部で特殊部隊を率い、イランとサウジアラビアとの間で進められていた関係修復のやりとりでメッセンジャー役だったガーセム・ソレイマーニーをアメリカ軍がイラクのバグダッド空港で暗殺したのは今年1月3日のことだった。

 暗殺の喪が明けた直後、1月8日早朝にイラン軍はアメリカ軍が駐留しているアイン・アル・アサドやエル・ビルの基地をミサイルで攻撃、イラン側によると、約80名のアメリカ軍関係者が死亡、200名近くが負傷したという。

 アメリカ側の反応が鈍いことから相当数の犠牲者が出ているだろうと考える人は少なくないが、この推測が正しいなら、サウジアラビアに続き、ここでもアメリカの防空システムは機能しなかったことになる。これでイラン側が報復を止めるかどうか不明だが、アメリカが何らかの軍事的な行動に出れば報復するだろう。

 防空システムを含むアメリカ軍の能力、サウジアラビアとイランとの和平の動き、それを妨害するアメリカ、イラクの政府や議会がアメリカに突きつけている軍隊の撤退とアメリカ側の拒否などの問題がアメリカ政府の上にのしかかっている。人びとの注意をそらす必要がある。そうした中、アメリカにとって都合良くウクライナの旅客機が墜落した。そのウクライナでも現在の政府はロシアとの関係修復に動いている。(了)






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2020.01.11 16:32:39



© Rakuten Group, Inc.